中国バブル経済が崩壊、ドイツ企業にも打撃=独紙

2010/07/30
更新: 2010/07/30

【大紀元日本7月30日】不動産価格の相次ぐ下落、経済成長の鈍化、急増する銀行融資...ドイツの「ディ・ヴェルト」(Die Welt)紙はこのほど、中国経済の現状に関する記事を発表した。多くのエコノミストは中国バブル経済はすでに崩壊しており、中国市場に投資してきたドイツもその打撃を受けると予測している。

『中国新恐慌』と題した同紙の記事は、中国の不動産市場に見られる不可解な現象を紹介している。「中国のネットユーザーの間では最近、今年上半期に6540万件の不動産物件が電気を使っていないという事実に関して、熱い議論が繰り広げられている。最も納得のいく原因は、これらの物件が空室であること。物件所有者が投機目的で購入した資産であり、不動産バブル経済の産物と考えられる」

国際通貨基金(IMF)の元チーフエコノミストで米ハーバード大学のケネス・ロゴフ経済学教授は、「ディ・ヴェルト」紙に対して、「現在、(中国の)バブルはまもなく崩壊するようにみえる。少なくともこれがハーバード大学の経済学者たちの見解だ」と指摘、「中国の不動産市場は、現在、崩壊段階にあり、そのため銀行は大きな打撃を受けるだろう」と中国経済の現状について警告した。

また、ロゴフ教授は「中国のGDP成長率が今後2%下落することがあれば、これは長い間経済が急発展してきた国にとって景気後退の兆候となり、ドイツの輸出にも影響が出るだろう」という予測を示した。

同紙は、中国6月の不動産価格が小幅に下落したことや、6月のエネルギー消費が前月と比べて低下し、中国の鉄鉱石や石炭の輸入が減少したことから、中国の経済成長は、減速しつつあると指摘している。また、急増した金融機関の融資の焦付きを懸念し始めた中国金融管理当局は、今年初め、国内金融機関に対して自己資本比率の引き上げを決定したことから、今後融資も投資も減り、ますます経済成長が減速するだろうと予測している。

さらに中国政府は、昨年の鉄鋼メーカーの生産過剰に対する批判にもかかわらず、今年上半期の鉄鋼生産量は前年同期比の21%増となった。しかし、建設業や自動車メーカーからの鉄鋼材への需要は低迷している。7月23日付の「中国商報」によると、4月から鉄鋼生産大手の「宝鋼」は鉄鋼材の価格を落とし始め、一部の鉄鋼メーカーは高コストと低価格の圧力を受け、生産量の縮小あるいは一時生産停止へと踏み切った。

「ディ・ヴェルト」によると、ドイツのウニクレディト銀行のチーフエコノミストであるアンドレアス・リース氏は、「中国の経済成長のピークはすでに経過した」と述べたという。また、ドイツの保険大手アリアンツ・グループの上海駐在員も、中国の不動産市場にはかなりの危機が潜んでおり、北京や上海など大都市の不動産価格が急落する可能性があるという見方を示した。

ドイツ経済に悪影響

7月24日(日曜日)発行の「ディ・ヴェルト・アム・ゾンターク」(Die Welt am Sonntag)紙ではさらに、中国経済成長がいったん減速すれば、ドイツは直接的な影響を受けるだろうという懸念を示した。

同紙によると、ウニクレディト銀子の統計では、前年同期比で1~4月のドイツ自動車メーカーの対中輸出は170%増、電子部品製造の対中輸出は46%増、化学製品は42%増となった。

「対中輸出の大幅な増加は、ドイツの中国経済への依存を拡大させた」、「2009年はドイツの対米輸出が540億ユーロで、対中輸出が360億ユーロだった。今年1~4月の輸出総額は前年同期比で15%増となったが、その期間中対中輸出は前年同期比で54%急増した。対中輸出が対米輸出を上回るのは時間の問題だ」と懸念。

同上のチーフエコノミストであるリース氏は、「もし中国経済成長が減速すれば、その周辺国および先進国の経済・景気に必ず影響が出る。その中でも最も打撃を受けるのはドイツだろう」と述べている。

(翻訳編集・張哲)
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