米国会「台湾連線」、台湾馬政府に圧力 中国向け衛星放送契約中止で

2011/05/20
更新: 2011/05/20

【大紀元日本5月20日】「台湾政府が中国国内での思想の自由のための戦いを支持しなければ、米国も台湾を支持する必要はないであろう」。世界報道の自由の日に当たる5月3日の前日、米下院外務委員会の調査チームの主席ダナ・タイロン・ローラバッカー(Dana Tyron Rohrabacher)氏が、台湾の馬英九総統に出した手紙で、このように綴っている。

ローラバッカー議員は米国連邦議会上院の「国会台湾連線(Taiwan Caucus )」の創設者で、米議会では屈指の「台湾通」である。米国の台湾への支持に重要な影響力を果たしてきた。ローラバッカー議員の同書簡は、台湾最大の電気通信事業者「中華電信」が最近下したある決定は、馬政府の対中国大陸政策を反映しているのではと強い口調で問い詰めている。

「中華電信」が最近、同社の衛星を通して中国大陸向けの放送を行っている中国語衛星放送局・新唐人テレビ(NTDTV)に対して、技術的な問題を理由に衛星の使用契約を更新しないと通告した。それにより、今年8月から、新唐人テレビの中国向け衛星放送が完全に中止されてしまう恐れが出てきた。

中華電信は民営化された台湾の元国有企業であり、政府交通部はその筆頭株主である。そのため、本件の最終決定権は台湾政府にある。

ニューヨークを拠点とする新唐人テレビは、海外の中国人が運営している衛星放送局である。2002年に設立され、中国当局が封じ込めている国内外のニュースや情報を中国向けに衛星放送しており、「中国の上空に開いた自由の窓」と評価されている。同テレビ局広報によると、これまで中国当局から度々妨害を受けてきた。

今回の中華電信の決定について米国議会関係者は重大な関心を示し、中国当局による裏の圧力を指摘している。同社の筆頭株主である台湾政府に対し、民主と自由を守るため決定の撤回を呼びかけている。

ローラバッカー議員のほか、「台湾連線」の現会長を務めるゲリー・コノリー(Gerry Connolly) 下院議員や、上院軍事委員会メンバーのジョン・コーリン (John Cornyn) 議員も本件への関心と憂慮を示した。「言論と思想の自由への如何なる制圧も民主制度を弱体化させてしまう。長い目でみると、本件は中国と台湾にとって、共に不利である」とコノリー議員は指摘する。

台湾の国会である立法院の蔡煌琅・議員は、ローラバッカー議員は台湾に非常に友好的であり、台湾政府はその見解を重視すべきと述べ、さもなければ、米台関係に不利な影響をもたらすと指摘した。

台湾政府の范姜泰・報道官は5月10日、新唐人テレビの関係者に対して、「本件は中華電信と新唐人テレビの企業間行為であり、台湾政府は関与を差し控える」と述べた。

一方、台湾立法院の超党派議員は相次ぎ馬英九政権に対して、本件に関し進言を行っている。 塗醒哲・議員は、「中国当局は本件を通して、馬英九政権が中国にどこまで譲歩するかを再び試している。もし、わが政府がまたもや従ってしまえば、政府の弱さを見せてしまうことになり、その結果、中国当局の攻勢はますますエスカレートする」と警鐘を鳴らした。

台湾の主流メディアの自由時報やリンゴ日報なども社説を発表して、馬英九政権の中国人権問題への関心度に疑問を呈し、台湾の自由・民主状況の後退を憂慮した。

(翻訳編集・叶子)
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