「純金の缶が偽物だった」 中国オリンピック金メダリストへの賞品

2011/11/23
更新: 2011/11/23

【大紀元日本11月23日】1992年のバルセロナ・オリンピックで女子柔道72キロ級の金メダルを獲得した中国の元選手・庄暁岩さんは、当時授与された200グラム純金の缶は偽造品であり、専門家の鑑定では50元(約600円)の価値しかないと訴え出た。

この「純金の缶」を贈与したのは中国の大手スポーツドリンクメーカーの「健力宝」社である。

一方、同社は本件について、調査中だとしており、その会長補佐は「いまわが社は司法の手続きを踏まえて調査を行なっている」と答えた。

庄さんは中国紙の取材に対して、当時の状況を語った。それによると、オリンピック終了後、金メダルを獲得した16人の選手は全員、最高指導部の人民大会堂で開かれた受賞式に参加した。政府高官も出席する中、健力宝社の当時の李経緯・会長から選手全員に、200グラムの純金の缶を授与された。

今年43歳の庄さんはいま、遼寧省の選手育成機関で柔道のコーチを務めている。

19年間、彼女はこの金色に輝く純金の缶を宝物として大事に保管し、専用の金庫まで用意した。今年16歳になる双子の娘にすら、見せたことがなかったという。今年7月、2人の娘の高校入学を機に、庄さんは初めてこの宝物の缶を取り出して見せた。「彼女たちにはもっと勉強に励んでほしいためだった」と庄さんは言う。

しかし、娘の一語に彼女は驚いた。「お母さん、どうみてもこれは偽造品ぽいよ」そこで、よく缶を見てみると、なんと白い斑点を発見した。それを擦ると、中から銀色が露出してきた。不審に思った庄さんは瀋陽市の大手貴金属店に鑑定を依頼した。告げられた鑑定結果は、「缶の周りの材質はバラバラで、せいぜい50元の価値しかない」。

納得しない庄さんは当時の受賞式を報道する政府紙まで収集してきた。1992年8月15日付けの「中国体育報」の関連報道は、オリンピック金メダリストに贈呈された健力宝社の金缶は純金で作られていると明確に記していた。

庄さんは中国紙の取材に対して、法的手段で本件の真相を究明していくと述べ、健力宝社の陳謝を求める意向を示した。

当時、同じ金缶を授与された一部の選手も、専門家に鑑定を依頼する意向を表明した。

同じく1992年バルセロナ・オリンピックの金メダリスト、中国水泳オリンピック金メダルを史上初めて獲得した孫淑偉さんは中国紙「新京報」の取材で、本件への感想を語った。「もう何にも感じていない。長年、周りでは偽物があまりにも多すぎて、騙しあいが日常茶飯事。もう私は麻痺しました」「この件はすでに20年も過ぎて、健力宝社の責任を追及しても無意味です。鑑定なんかもしません」

(翻訳編集・叶子)
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