重慶師範大学渉外商貿易学院(ネット写真)
独占インタビュー

大学を追われた研究者が語る 中国共産党「土地改革」の暗部

※ 大紀元エポックタイムズで表明された内容や意見は、寄稿者の個人的見解です。無断転載を堅く禁じます。

 「地主をめぐりいったい何があったのか、全く知りませんでした。私の世代にあの時代を生きた人はいませんでしたから」後に、譚氏は数年間を農村で暮らし、大勢の農民と交流したことで、真相は当局の発表と全く違うことが分かったという。このことが、譚氏が歴史に隠された真実を明らかにしたいと思うようになったきっかけとなった。

 四川省重慶地区の土地改革に関する同氏の調査は、2003年から始まった。

 「中華民族に、この時代のような悲惨な過去があったとは。恐らく、誰も想像することなどできないでしょう。人間の想像が及ぶようなものではないのです」

 雑誌『開放』によると、譚氏は香港中文大学での講演会で、土地改革で最もむごたらしく恐ろしい行為は、土地改革推進派が地主に金銀財宝を差し出すよう強要し、それが叶わなければ、あらゆる陰惨な手段を使って地主やその家族に次々と拷問を加えたことだったと述べている。

 例えば、真っ赤に焼けた炭を詰め込んだ鉄桶を背中に負わせる、熱した鉄パイプを無理やり握らせる、頭を縄で縛って吊しあげる、女性のズボンを脱がせて火であぶる、頭の上に粘土で丸く土手を作って、中にキリ油を入れて火をともす、両手を合わせて縛り付けて中にキリ油を注いで火をともすといった極めて残忍なものだった。

 調査が進むにつれ、想像を絶する理不尽な苦難や暴力が彼らを襲ったということの他に、譚氏が最も心を締め付けられたのは、彼らの心に植え付けられた「恐怖」についてだった。「こうした”恐怖“は人々の心を蝕む。特にこの土地改革において人々の心に深く根を張った恐怖がどれほどのものだったか、自由社会に住む人々には想像もつかないでしょう。土地改革という言葉を聞いただけで、当時迫害を受けた人たちがどれだけ恐れおののくことか。このことが最も印象に残っています」

 同氏は、右派に関する調査を行った時は少しましだったとはいえ、やはり多くの人が恐怖心のため過去を語りたがらなかったと話した。

 「この状況はつまり、この数十年で当局が960万平方キロメートルという広大な中国全土に、恐怖という名の大きな網を張り巡らすことに大いに成功したということを表しています。住民の1人1人が恐怖の中で暮らしていくうち、真実を自らの手で覆い隠してしまったのです」

 「中国共産党が政権を取ってから全土で行われてきたいくつかの『運動』のなかで、土地改革だけはこれまで一度も否定されていません。反右派運動も基本的には否定されました。文化大革命も中共が自ら否定しました。1958年から1961年まで行われた大躍進で大量の餓死者を出してしまったこともそうです(1959年に毛沢東自身が生涯一度の自己批判を行って、政策の失敗を認めている)」

 だが、土地改革だけはずっと「タブー」として扱われてきた。なぜなら、中国共産革命の全ての合法性は、土地改革の上に成り立っているからだ。「土地改革の話は今でも“地雷原”です。この万丈の深淵に立った時、恐れを抱かない人がいるでしょうか」

中国で真実を語ること 麻薬の密売と同じくらい危険

 共産党専制政治の落とす闇は、譚氏の頭上にも迫っている。ある日突然、8人もの当局職員が同氏の家になだれ込み、家財を没収されたうえ、譚氏自身も連れ去られ収監された。

 「自由を享受できる世界に暮らす人には理解しがたいことでしょう。ドアをノックされただけで、心臓が飛び跳ねるほど恐ろしいのだということが。私はそうです。何年もの間、ノック1つに戦々恐々としながら生きてきました。」

「私たちの国では、真実を語るということは非常に大きなリスクを伴うのです。ある意味では、真実を語ることは麻薬の密売を行うのと同じくらい危険なことなのです」

「数十年前、私の父は真実を語ったがために右派の烙印を押されました。私たちの先達、私たちの親世代の人々は、真実を話しただけで悲惨な目に遭い苦難に満ちた道を歩むことになりました」

 譚氏は、こうした調査を行う上で最も重要な資質は、才能でもなく、ノウハウでもなく、恐怖に打ち勝つ勇気だと語る。気骨を失った人間は簡単に嘘をつく。それは個人の悲哀であり、もっと言えば国や民族の悲哀でもある。

 譚氏は、自分もまた嘘の中で大人になったと語る。調査を行ってから、自分が受けてきた教育が全て嘘だったことが、ようやく分かったと。

 「これが、私が嘘を心から許せない理由です。私は教壇に立った時、真実を語りたい。真実を語るか、教壇を降りるかと問われても、この一点において絶対に妥協はしません。私たちはもっと気概を持つべきなのです」

 真実を語るには、大きな代償を払うことにもなるだろう。60年前も今も変わらない。しかし、信条を貫くべきで、これこそが非常に大切なのだと譚氏は語った。

(翻訳編集・島津彰浩)