情報BOX:米中、貿易戦争「休戦」で合意 両国の説明に相違も

2018/12/04
更新: 2018/12/04

[3日 ロイター] – 米中は1日に開いたトランプ大統領と習近平国家主席の会談で、貿易戦争の「一時休戦」で合意した。

米当局者は3日、中国が直ちに米国産自動車への関税を引き下げるほか、知的財産権侵害や技術移転強要の問題に対処するとの見方を示した。

しかし、合意内容に関する両国の説明には相違がみられる。

主な相違点は以下の通り。

<クアルコムのNXP買収>

ホワイトハウスの声明によると、習主席は会談で、米半導体大手クアルコム<QCOM.O>によるオランダの同業NXPセミコンダクターズ<NXPI.O>買収の中国での承認について、再び申請されればオープンだと述べた。

中国政府高官は記者会見でこの件に言及しなかった。ただ、主要国営メディアのうち少なくとも1社は対話アプリ「微信(ウィーチャット)」上のアカウントでホワイトハウスの声明に言及した。

クアルコムは3日、NXP買収計画は終了したものと判断していると表明し、計画の復活を検討していないことを明らかにした。

<中国経済の構造改革>

ホワイトハウスは、技術移転の強要や知的財産権保護、非関税障壁、サイバー攻撃、サービスや農業分野について、構造改革協議を速やかに開始することでトランプ大統領と習主席が合意したと発表。

一方、中国の王毅・国務委員兼外相からは米国ほど具体的な発言は出なかった。王氏は記者団に対し、米中間の貿易不均衡の段階的な是正に向け、需要に応じて米国からの輸入を拡大すると述べた。

また、両国が互いに市場開放を進めることでも合意したとし、中国が一段の市場開放を進める中で米国の懸念は次第に解消されるとの見通しを示した。

中国共産党機関紙・人民日報傘下の環球時報は3日、米中が市場アクセスの拡大や知的財産権保護、技術移転の強要回避、サイバー犯罪の合同取り締まりについてさらなる協議を行うと理解していると報じた。

<90日の猶予期間>

ホワイトハウスは技術移転の強要など米国側が指摘する具体的な問題の解決に向けて今後90日間で協議を行うとし、この間に合意できなければ、2000億ドル相当の中国製品に対する関税率を現行の10%から25%に引き上げると表明。

中国メディアはこの猶予期間に言及したが、王氏は触れていない。また、王受文商務次官は記者団に対し、(米国が他の中国製品に課している)25%の関税を取り除く方向で両国が協議を加速させると述べたが、時期には言及しなかった。

崔天凱・駐米中国大使は3日、向こう3カ月間の両国の祝日を考慮すると、実際の交渉期間は90日に満たないと指摘した。

<中国による米国製品輸入>

ホワイトハウスは中国が大量の農産物やエネルギー、工業製品などを輸入すると明らかにし、農産物の購入は「直ちに」開始すると説明した。ただ、購入の規模は未確定。

中国は輸入を拡大する具体的な品目や時期に直接言及していない。

<その他のコミットメント>

ムニューシン米財務長官は3日、中国が1兆2000億ドルを超える輸入拡大の意向を示したと明らかにした。

米国家経済会議(NEC)のカドロー委員長は新たなコミットメントの規模について、大まかな目安であり、民間の取引や市場の状況次第だと説明。また、米国車に対する40%の関税の引き下げなど、中国が関税・非関税障壁の削減に向けて早急に取り組むことを約束したと述べた。米国車への関税については、トランプ大統領も2日、中国が引き下げに合意したとツイートした。

カドロー委員長はさらに、米企業は中国企業の過半数株式を取得することが初めて可能になると明らかにした。

中国はムニューシン長官やカドロー委員長の発言について、内容を確認するコメントは出していない。

ただ、中国の政府系経済紙、証券日報によると、中国政府は米国から輸入する自動車への関税を引き下げる可能性について協議している。引き下げの具体的な規模や時期については明らかになっていないという。

*内容を追加しました。

Reuters
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