アングル:米、中国を為替操作国認定 想定される次のステップ

2019/08/07
更新: 2019/08/07

[ワシントン 5日 ロイター] – 米財務省は5日、中国を為替操作国に認定した。米国が為替操作国を指定するのは、1994年に中国を認定して以来初めてとなる。

以下、為替操作国認定後に想定される動き。

米財務省は、貿易で有利になるよう意図的に通貨を操作していると判断した国を為替操作国に認定し、相手国と協議を実施するか、是正に向け国際通貨基金(IMF)に働きかける。

米国の法律では、為替操作の判断基準として、多額の経常黒字、大規模な対米貿易黒字、継続的かつ一方的な為替介入の3つを定めている。

相手国との協議などで解決策が見いだせない場合、大統領は制裁措置に踏み切ることが可能。制裁措置としては、当該国での海外民間投資公社(OPIC)の資金調達禁止や政府の調達契約対象からの排除などがあるが、中国は米政府の主要調達対象でもなければ、OPICの主要投融資先でもない。

トランプ米大統領は2016年の大統領選で、就任が決まれば即座に中国を為替操作国に認定すると表明していた。ただ、財務省は中国の経常黒字は縮小しており、2015年に大幅に下落した人民元相場はおおむね安定しているとし、為替操作国の認定をこれまで見送ってきた。

米財務省やIMFで高官を務めたマーク・ソーベル氏は、今回の為替操作国認定は、貿易や通貨の戦争を激化させるだけで、状況改善は見込めないと指摘。「改善のための措置は十分な力がなく、IMFは既に人民元相場についての見解を示している」と説明した。

IMFは7月に公表した年次の「対外部門の安定性に関する報告書」で、人民元はファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)に沿った水準だとの見方を示した。一方、ドルについては短期のファンダメンタルズに基づき6─12%過大評価されているとの見解を示した。

Reuters
関連特集: 国際