大紀元時報

米海軍紙、中国の海洋進出に対抗するため民間船の使用を提案

2020年04月13日 18時32分
2011年3月14日、連雲港に停泊する貨物船.(VCG/Getty Images)
2011年3月14日、連雲港に停泊する貨物船.(VCG/Getty Images)

米国海軍の研究では、中国の海洋進出に対抗するために民間企業の船舶を利用する案が出ている。 中国では国家戦略上の海洋軍事力の一つとして海上民兵が重要な一部になっており、米国は対抗策を練っている。

元米海兵隊大佐で戦略国際問題研究センター(CSIS)上級顧問を務めるマーク・カンシアン(Mark Cancian)氏とブランドン・シュワルツ(Brandon Schwartz)氏は、米海軍兵学校の月刊誌「Proceedings」4月号に、民間の船舶に私掠許可(letter of marque)を付与し、二国間紛争の際、中国の商船や物資を拿捕・押収できるようにすべきだと提案した。

中国の大型商船団は米国との非対称的な脆弱性を表しており、海外貿易への攻撃は中国経済全体を弱体化させ、その安定性を脅かすことができると述べている。

報告は、米国は私掠許可証を1907年以降発行していないが、米国憲法上では、議会が同権利を発行することを認めているという。

また、紛争が発生した場合は民間船に対する私掠許可証がただちに発行できるようにすること、民間船は期間限定で捜索・押収活動を行えること、軍艦の建造には約4年かかることなどを理由に、民間船の利用は中国の海洋進出に対抗するための最も安価で迅速な手段だと述べた。

米国のロン・ポール(Ron Paul)下院議員は2007年と09年の2回、武装過激派組織のリーダー、ビン・ラディンと、ソマリア海周辺の海賊と対抗するために民間船に対する私掠許可を提案したが、最終的には成功しなかった。

いっぽう、これに反対する意見も早速出ている。シンクタンクのランド(RAND)研究所の上級国防アナリスト、デレク・グロスマン(Derek Grossman)氏は、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)に対し、「米国が私掠権を持つ民間船を使用すれば、インド太平洋地域の戦略目標を損なう可能性がある」と語った。

グロスマン氏によれば、ワシントンはインド太平洋戦略を通じて、ルールに基づいた国際秩序を維持しようとしている。 私掠権へ踏み出せば、国際的な規制や行動規範の精神に則った平和的な紛争解決を目指す米国の政策に反する。また、私掠権を付与しても、漁船などの米国の民間船が有事に行動するのは困難で、大きなリスクを伴うとした。

また、米軍ジャーナリストのデビッド・アックス(David Axe)氏は10日、米紙ナショナルインタレスト(National Interest)の寄稿文で、米国が民間船に私掠許可証を発行すれば、中国は報復措置を取ると予想している。「米国は中国とほぼ同じくらい対外貿易に依存しており、ほとんどが船(海上輸送)に頼っている」と指摘している。「結果は悲惨なものになる可能性がある」と述べた。

シンガポールの南洋理工大学国際戦略研究所コリン・コー(Collin Koh)研究員は、民間船の紛争時の使用は「政治的に実現不可能」であり、「中国の報復を招く露骨な挑発として認識されるだろう」とし、「国連憲章の下では、そのような動きは武力行使として認識される可能性があり、国際的な非難を集める可能性もある」とメディアに語った。

いっぽう、米国の学者は、中国は戦略的に民間と軍の双方から南シナ海と東シナ海における海洋進出の拡大を行っており、民間の海上民兵の役割は大きく、十分な警戒が必要だと指摘している。

前出のグロスマン氏は6日、具体的な手段を上げた。それによると、中国は武装した漁船を係争地域(グレーゾーン)に大量に動員して、係争相手の主権行為を数で抑え込む。さらに、民間船を使うことで国際的な注目を避け、米国が介入する可能性を減らし「海上での人民戦争」によって「戦わずに勝つ」ことができるという。

グロスマン氏は、インドネシアは最近、海上保安機関、海軍、空軍を効果的に利用して、中国の海上民兵をナトゥナ諸島周辺海域(中国の九段線のすぐ南側)に強制的に撤退させた例を挙げた。 この戦略は、他の地域でも非常に効果的に再現することができると提唱した。

中共ウイルス(新型コロナウイルス)の流行が猛威を振る最中、南シナ海と東シナ海では、中国船が絡む船の衝突事故を続発させている。海軍大学中国海洋研究所のアンドリュー・S・エリクソン教授は7日、自身のホームページで、「中国は引き続き、情報の透明性に消極的なだけに、衝突に関わった国の関係者が、事件の詳細を公表することを希望している」と述べた。同時に、中国の海上民兵が過去数十年間で、これらの係争水域で重要な役割を果たしてきたことを示す、十分な情報があるとした。

(翻訳編集・佐渡道世)

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