那覇市議会で中国人権状況に関する意見書、全会一致で可決

2021/03/25
更新: 2021/03/25

中国共産党政権によるチベットウイグル人弾圧に懸念を示し、日本政府に調査と抗議を求める意見書が3月22日、沖縄県那覇市議会で全会一致で可決された。那覇市の大山たかお議員は大紀元の取材に対し、意見書を全会一致で可決したことの意義は大きいと話した。

中華人民共和国による人権侵害問題に対する調査及び抗議を求める意見書」と題された那覇市の意見書は、多くの国々が中国の人権状況に「重大な懸念」を示していると指摘した。また、ウイグル人女性が、新疆ウイグル自治区の収容施設で組織的な性的暴行が行われていることを報道機関に証言したことを取り上げた。

さらに、中国当局が英BBCを放送禁止にしたことを取り上げ、「人権に加えて『言論の自由』も奪われそうになっている」と危機感を表した。

意見書はまた、中国の人権問題に対する政府の対応は「到底容認できるものではない」と強く批判し、「日本政府として調査し、各種問題があった場合は、様々な手法を用いて厳重に抗議」するよう求めた。

那覇市議会の大山たかお議員は大紀元の取材に対し、「この問題は日本国民全員の課題として取り組まなければならない。全会一致だからこそ意義がある」と強調した。そして、「那覇市議会にも自民党や公明党、共産党など様々な党派が存在している。今回の意見書が党派を超えて全会一致で可決されたことの意義は大きい。今後、日本中でこのような流れができるかもしれない」と述べた。

意見書全文

中華人民共和国による人権侵害問題に対する調査及び抗議を求める意見書

新疆ウイグル自治区で、大規模な恣意的勾留、人権弾圧が中国当局によって行われていることを国際社会は深く憂慮している。国連の人種差別撤廃委員会は、平成30年(2018年)9月、中国に関する総括所見を発表し、多数のウイグル人やムスリム系住民が法的手続きなしに長期にわたって強制収容されて「再教育」が行われていることなどについて、「切実な懸念」を表明している。

令和 2 年(2020 年)10月には国連総会第3委員会でドイツなど39カ国が、香港とウイグル自治区での人権侵害に重大な懸念を表明する共同声明を発表し、ウイグルとチベットでの人権尊重と調査、香港の事態の即時是正を求めている。

本年2月3日には、ウイグル女性が報道機関に対し「新疆ウイグル自治区の収容施設に収容された際に女性に対する組織的な性的暴行被害があった。」と証言した。2月5日、アントニー・ブリンケン米国務長官と中国の楊潔篪(ヤンチエチー)政治局員が電話対談を行った際にブリンケン米国務長官は楊氏に対し「新疆ウイグル自治区、チベット自治区、香港における人権と民主的な価値観を米国は擁護し続ける」と言う趣旨を発言した。

この発言は、ドナルド・トランプ前米国大統領政権時のポンペオ国務長官が「中国による新疆ウイグル自治区における少数民族ウイグル族らへの弾圧を国際法上の犯罪となるジェノサイド(民族大量虐殺)と認定する」という旨の発表の流れを継続する発言である。

同時にポンペオ国務長官は声明で「党の指示と支配のもとで中国政府はウイグル族らへの罪を犯してきた」と指摘、100 万人超の市民の恣意的な投獄や不妊手術の強制、拷問、強制労働などが課されてきたと指弾した。「虐殺はいまも続いていると確信している」との声明も発表し、ドミニク・ラーブ英国外相も「中国西部の新疆ウイグル自治区でおぞましく、甚だしい人権侵害が起きている」として中国政府を厳しく非難した。

オーストラリアのマリス・ペイン外相も「調査をするべきだ。」と発言しており、国や政党を超えて大きな人権問題として認識されている。また、本年、1月21日に中国政府は「英国BBCニュースは中国国内の放送を禁止する」と発表があり、人権に加えて「言論の自由」も奪われそうになっている。

日本政府は、「人権状況について懸念をもって注視している」という趣旨の発言に留まっている。日本周辺における不安定な状況と戦後様々な人権問題を抱え、解決をしてきた那覇市としては政府の対応は到底容認できるものではない。

よって本市議会は、直ちに日本政府として調査し、各種問題があった場合は、様々な手法を用いて厳重に抗議することを要請する。

以上、地方自治法第 99 条の規定により、意見書を提出する。

令和3年(2021 年)3月 22 日

那覇市議会

あて先 衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、内閣官房長官、外務大臣、国土交通大臣、防衛大臣

(王文亮)

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