米税関、ユニクロの綿シャツ輸入差し止め 強制労働の疑い払拭できず

2021/05/20
更新: 2021/05/20

米国税関・国境警備局(CBP)は、アパレル大手ファーストリテイリングのブランド「ユニクロ」の綿シャツの輸入を差し止めた。強制労働関与の中国企業が製造した製品である疑いがあるという。CBPが5月10日に発表した関税文書で明らかになった。

米税関は調査のために、今年1月15日にロサンゼルス港に到着したユニクロの綿製シャツを留置していた。3月と4月に、ユニクロは追加の証明書などを提出したが、税関は証拠不十分として却下した。

CBPの文書によれば、ロサンゼルス港は、強制労働を使って作られたものではないことを証明するため、ユニクロに対して綿花生産者や綿糸メーカーの情報を求めた。これらには、綿花生産者から綿糸メーカーまでの輸送書類、綿花を摘み取った従業員のタイムカード、賃金の領収書、綿糸生産工程の報告書などが含まれる。

しかし、CBPは、ユニクロが追加提出した証拠では、強制労働の可能性を否定する証明にはならないと判断した。具体的には、新疆生産建設兵団が綿の加工過程に関わっていない情報が示されなかったという。

ユニクロ側は「非常に遺憾」と差し止めの決定に不満を表明した。ロイター通信の取材に対して、「ユニクロには、どのような人権侵害も強制労働も特定できる、強固なメカニズムがある。綿素材も、生産過程で強制労働などの問題がないことが確認されたコットンのみを使用している」とコメントを発表している。

米国は2020年8月、大規模な人権侵害と強制労働に関わっているとして「新疆生産建設兵団」とその子会社に制裁を科した。米国土安全保障省(DHS)は同年12月、米国のすべての入港地のCBP職員は「新疆生産建設兵団に関わる綿および綿製品を含む貨物を留置する」と通知した。

中国外務省の趙立堅報道官は記者会見で「新疆で強制労働はない」と従来の立場を表明し、米国の措置は「人権を口実にして、特定の中国企業や産業を抑圧しようとする欧米諸国や反中国勢力の悪意に満ちた陰謀だ」と批判した。

米国のユニクロの店舗数は4月時点で47店舗。ファーストリテイリングは2021年2月末の時点で、中国本土に800店舗構えており、同社の収益の約5分の1を占める。日本国内は807店舗でその数が微減であるのに対し、中国の店舗数は増加傾向にある。

新疆ウイグル自治区における人権侵害と強制労働について、人権団体のレポートや国外の証言者を元に、国際的に強い注目を集めている。米国、欧州連合(EU)、英国は、人権侵害の疑いで、中国の政府関係者に制裁を科している。米国は「ジェノサイド(虐殺)に等しい」と表現している。

(佐渡道世)

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