大紀元時報

ニセの友情 利益と現実主義に基づく中ロ関係

2021年5月27日 17時30分
楊潔篪氏のモスクワ訪問。2013年8月15日撮影(Photo credit should read VASILY MAXIMOV/AFP via Getty Images)
楊潔篪氏のモスクワ訪問。2013年8月15日撮影(Photo credit should read VASILY MAXIMOV/AFP via Getty Images)

中国中央外事活動委員会弁公室主任の楊潔篪(よう・けつち)氏は5月24~27日にかけて、モスクワでロシア当局と安全保障問題をめぐって、第16回中ロ戦略安全協議を行っている。これに対し、英紙フィナンシャル・タイムズは「中ロ関係が深まった証拠」と指摘した。ロシアは2014年のウクライナ侵攻後、欧米諸国の制裁による深刻な経済苦に陥り、外国からの資金を切望している。

ソチ五輪終了直後にロシアはクリミア侵攻した。その2カ月後、プーチン大統領は習近平氏と4000億ドルの天然ガス供給契約を結んだ。契約によると、ロシア側は2018年から30年間にわたり、380億立方メートルの天然ガスを毎年供給するという。

その後、中国とロシアの軍事関係が緊密になり、2018年の合同軍事演習は、おそらくロシアが貿易的な特権のために中国に支払った代償の一部だった。同年の貿易は10億ドルと記録的な数値となった。2019年、ロシアはファーウェイ(華為技術、HUAWEI)の5G通信網の開発を許可した。

中国はロシアからデータや技術を盗みながら、人民元を強引に注いでいる。中国はロシアの資源を米ドルやユーロで買うのではなく、中国銀行が自由に発行できる人民元で購入している。ロシアの人民元の外貨準備は、2018年の5%から2019年には14%に達した。2020年末に約12%まで減少したが、世界の外貨準備高は人民元が2%以下であるのに比べて、依然として高い水準にある。

中国はまた、ロシアの経済的な困窮を利用して航空、ロケット、核技術などを狙っている。中国は、こうした軍事転用可能な高度技術を入手して、世界トップレベルの輸出大国になることを目指している。

2019年、ロシアの国営武器メーカーのロステック(Rostec)は、中国の広範囲にわたる窃盗を非難した。「当社の機器が海外で、無断で複製されていることは大きな問題」とし、その数は過去17年間で500件に上ると、Rostecの知的財産プロジェクトの責任者は述べた。中国は「航空機エンジン、スホイ航空機、デッキジェット、防空システム、携帯型防空ミサイル、および中距離地対空システムの類似物を複製している」と例をあげた。

楊潔篪氏の5月末におけるロシア訪問の発表は、プーチン大統領と習近平氏が「中国の原子炉4基の建設を協力する」という原子力プロジェクトを立ち上げた数日後のことだった。

前出の英紙フィナンシャル・タイムズの記事は、ロシアの相対的な貧困や強制的な技術移転について言及していない。ただ、両首脳がお互いに賛辞を贈ったことが詳細に記されている。プーチン大統領は、両国の関係が「歴史上最高のレベルだ」と述べた。習近平氏は、「新しい時代のための協調的かつ包括的な戦略パートナーシップ」を語った。

さらに、記事は、中国とロシアにおける決定的な相違について言及していない。たとえば、中国は「北極圏周辺国」に経済的な影響をもたらそうとしている。他の地域と同様に、モスクワも北京の資金を必要としており、北京はその脆弱性を利用している。

中国は、ロシアの水上輸送大手PAOSovcomflot社と中国のCOSCO海運会社が共同で運営する、砕氷船タンカー船団を含むロシアの北極ガスプロジェクトに参加し、数十億ドルを投資した。米誌「フォーリン・ポリシー(Foreign Policy)」によると、「ロシアと中国の北極圏におけるパートナーシップは、同盟ではなく、ビジネスによって推進されている。この地域で相互に利益があるにもかかわらず、商業的な現実主義は彼らの関係の核心である」という。

また、ロシアは脆弱な東部地域の支配権を失うことへの懸念がある。中国に近いロシア東部の領土は、人口が少なく、開発が進んでいない。プーチン大統領は2000年、その地域は中国に乗っ取られる危険性があると述べた。メドべージェフ大統領(当時)は2012年、ロシア極東地域(RFE)にはほとんど人が住んでおらず、外国人が住み着くような居住地になることを防ぐため、中国を念頭に「周辺国の拡張」から住民を守ることが重要であると警告した。

モスクワは極東を開発するために中国の資本を切望しているが、アメリカ外交政策評議会(AFPC)のロシア専門家であるスティーブン・ブランク(Stephen Blank)氏によると、2016年の時点で「RFE地域の近代化は暗礁に乗り上げている。さらに、ロシアと中国の結びつきは、中国に依存する同盟関係になりつつある」と指摘している。

実は、中央アジアでも、中国とロシアは競合している。中国はカザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンで「一帯一路」を推し進めているが、これらの国々は、ロシアの「ポスト・ソビエト」勢力圏と見なされている。中国は新たな重商主義のもと、中央アジアの天然資源を入手し、代わりに中国国内で過剰生産された鉄鋼やコンクリートなどを輸出している。また、その輸出品を中央アジアの鉄道で輸送したいと考えている。

習近平氏の「一帯一路」計画は、丸め込むことができる独裁者の存在により実現しているとの指摘もある。現在、中国は中央アジアにおけるトップの「投資家」だ。中国の国営メディアには、「一帯一路」諸国を、帝国の所有物であるかのような言説が見られる。いっぽう、習近平氏は「中国に地政学的な動機はなく、排他的な地域を生まず、取引は押し付けない」と明言している。

(翻訳編集・蘇文悦)

ご寄付のお願い

クレジットカード決済

※銀行振込での単発寄付はこちら
関連キーワード
^