大紀元時報

バッシングから一転 中国、テスラ引き留め 撤退回避のためか

2021年6月12日 21時48分
テスラが中国上海に建設を計画していた巨大工場「上海ギガファクトリー」の起工式=2019年1月7日(Aly Song/Reuters)
テスラが中国上海に建設を計画していた巨大工場「上海ギガファクトリー」の起工式=2019年1月7日(Aly Song/Reuters)

これまで中国で拡大してきた「テスラバッシング」は、反転の兆しを見せている。中国メディアは最近、電気自動車(EV)メーカーの米テスラをめぐる報道が間違っていたとして謝罪した。

5月24日、温州汽車工程学会が公安当局の委託を受け、昨年8月に起きた温州テスラの事故に関する調査結果を公表した。テスラ本社のデータセンターが保有する関連データと事故車両のEDR(ドライブレコーダー)のデータを比較したところ、「衝突前にドライバーはブレーキペダルを踏まず、アクセルペダルを踏んでいた」ことが判明し、テスラ社に有利な結論となった。

テスラのWeibo公式アカウントは5月28日夜、「類星チャンネル」や「五商文化」「鳴金網」などセルフメディア6社が、「不正確な報道」をしたとしてテスラに公式に謝罪したと発表した。

1.中国撤退の動き

テスラは2019年、米国外で初の巨大​工場を上海に建設した。テスラが今年4月28日に米国証券取引委員会に提出した書類によると、同社は上海工場建設のために受けた6億1400万ドル(約673億円)の融資を、全額前倒しで返済した。

テスラは上海での工場拡張のための土地購入計画を中止し、上海工場を世界的な輸出拠点にする計画を一時的に棚上げしたと、5月11日にロイターが報じた。テスラが中国からの撤退を準備しているという憶測が広がっている。

3月27日付のドイツ国際公共放送ドイチェ・ヴェレ(DW)によると、インド政府は、テスラにできるだけ多くの優遇措置を提示し、「世界で最も低い生産コスト」を保証することで、テスラを誘致している。テスラの生産拠点として、インドのほか、英国やブラジルも候補に挙がっている。

テスラとロシアも急接近した。5月21日にモスクワで開催されたイベントのオンラインスピーチで、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者は、テスラがロシアでの工場開設に近づいており、近いうちにロシアの拠点を設立すると述べた。ロシアの地方政府はすぐに反応し、テスラ争奪戦を繰り広げた。

2.中国当局、懐柔で引き留めるか

その後、中国当局がテスラを引き留めているというニュースがあった。中国の微信(Weixin)公共サイトに掲載された5月27日付の記事「ちょっと激しい展開で、テスラはやや混乱」によると、中国当局は最近、テスラをはじめとする米企業と会談し、中国への投資拡大を求めた。

それによると、中国政府関係者は今回の会談で、中国が大きな市場であること、中国の人々が米製品の技術や品質に高い信頼を寄せていること、中国が将来的にテスラにとって最大の市場となることなどから、テスラの上海での投資拡大に期待を示したという。

時事評論家の李林一氏は大紀元の取材に対し、中国当局がテスラを引き留める理由は2つあると分析している。まず、米中貿易戦争の最中に中国進出したテスラまで撤退を余儀なくされれば、外国企業の対中投資意欲に未曾有の打撃を与えることになる。

また、テスラは中国に進出した当時、部品製造の100%を現地化すると約束した。つまり、テスラは中国の新エネルギー自動車の産業チェーン構築に力を貸している。このステップがまだ完了していないことが、中国当局が現時点でテスラ中国撤退を望んでいないもう一つの理由であるという。

3.中国依存の政治リスク

中国で起きたテスラの騒動は、気まぐれな中国市場が、それに依存して生き延びている企業の価値に大きな影響を与えたと解釈されている。

2018年、米中貿易戦争が激化する中、テスラは上海での工場建設の承認を得て、上海で最大の外資系製造業となった。また、中国政府は、他の外資系企業にはない、税制優遇措置や低金利融資、外資初となる独資の自動車工場の建設許可などの優遇措置を提供した。

しかし、中国当局が2021年からテスラに対する規制を強化した際、テスラは中国で微妙な立場に立たされることになった。中国当局は3月、テスラ車に搭載されたカメラが米政府によるスパイ活動のためのデータを収集する可能性を恐れ、軍事施設や住宅地への立ち入りを禁止した。

スパイ疑惑を払拭するために、テスラの対外事務副総裁グレース・タオ(陶​琳)氏は4月上旬、中国で収集したすべてのデータを米国に送らずに中国で保管すると発表した。

4月20日、中国国営の新華社通信は、上海モーターショーでのテスラへの抗議騒動を取り上げ、テスラ車の「品質問題」を批判した。これにより、中国全土で「テスラバッシング」が巻き起こった。

インターネット上では「テスラは中国から出て行け」という批判の声が高まった。テスラを罵倒する報道が人気検索ランキングに頻繁に登場していた。

4.業績が大幅悪化

複数のメディアによると、テスラの中国での販売台数が減少している。テスラ中国は、3月に3万5478台、4月に2万5845台を販売した。テスラが5月に中国で約2万1800台を販売したと、テスラ中国のアナリストは4日発表した。

3日付の技術ニュースサイト「ジ・インフォメーション(The Information)」がテスラの内部情報を引用し、中国当局の規制強化に伴い、テスラ中国の月間​受注数は、4月の1万8000件以上から5月は約9800件に減少したと報じた。これを受けて、テスラ社の株価はその日の午後の取引で5%近く下落した。

5月22日付の台湾紙「自由時報」によると、2020年にS&P500銘柄の中で上昇率トップだったテスラは、今年に入ってから株価が16%以上急落し、下落率4位に転落。テスラの株価は1月の高値から30%以上下落し、時価総額は約2700億ドル減少した。

(翻訳編集・王君宜)

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