低所得国、富裕国との「資金格差」で経済回復に遅れ=IMF

2021/10/14
更新: 2021/10/14

[ワシントン 13日 ロイター] – 国際通貨基金(IMF)は13日に公表した財政報告で、ワクチン接種率や歳入の伸び、借り入れ能力に差があることから、低所得国の経済成長は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前の予想より何年も遅れるとの見方を示した。

世界の公的債務は、2020年に226兆ドルという記録的な水準に達した。わずか1年で27兆ドルの増加であり、世界金融危機の2年間(08─09年)の累積増加額20兆ドルをはるかに上回る。

IMFのガスパール財政局長はロイターとのインタビューで、増加分の約90%は先進国と中国によるもので、新興国や発展途上国は歳出のために金融市場にあまりアクセスできず、金利上昇の可能性に対しても脆弱であると述べた。

ガスパール氏は「ワクチン格差、気候変動、資金調達格差の問題は、世界的な問題であり行動が求められている」と指摘。低所得国は複合的な問題に直面しており、今後数年間は成長の見通しが鈍る可能性があると警告した。

パンデミックは、危機以前から低所得国が直面していた「相当な」資金調達力の差をさらに悪化させ、新興国や途上国は世界的な金利の変動にも影響を受けやすいと指摘。中央銀行がパンデミック時の金融支援を解除し始めると、途上国の借り入れコストが予想以上に早く上昇する可能性があることを示している。

世界の公的債務は、対国内総生産(GDP)比で100%をわずかに下回るだけの、記録的な88兆ドルに高止まりしているが、各地域のワクチン接種率、パンデミックの状況、政府が低コストの債務を利用できるかどうかによって、財政・経済状況は大きく異なる。

報告によると、パンデミックがなかった場合に比べて、21年末までにさらに6500万─7500万人が貧困に陥ると推定されている。

Reuters
関連特集: 国際