ニューヨーク市内を走る救急車、2020年12月撮影(Spencer Platt/Getty Images) 

米NYC、フェンタニルによる死 昨年比で55%以上増加=CDC

米ニューヨーク市の住民が、医療用鎮痛剤オピオイド」を合成した薬物「フェンタニル」の過剰摂取で死亡するケースが増えている。米国疾病対策予防センター(CDC)の推計によると、3月末までの12か月間で1778人が死亡し、前年同期比で55%以上も増加した。

CDCは、データは不完全であり、犠牲者はより多い可能性があると指摘している。医療用鎮痛剤に関連した死亡例は、同市における薬物過剰摂取による死亡例の約7割を占めている。

ニューヨーク市は長らくオピオイドの蔓延に悩まされている。薬物治療を受けやすくする措置や、依存の解消を助けるメタドンやブプレノルフィン、ナロキソンなどの薬剤の提供で、これまで問題に対応してきた。

しかし、皮下注射針や注射器の所持・販売を非犯罪化するなど、行き過ぎた規制緩和も実施しており、蔓延の抑制に結びついていない。ニューヨーク・ポストによると、同州はニューヨーク市警察に対し、注射針を持っている人を見かけても、「規制薬物の残留物が含まれていたとしても」介入しないよう命じたという。

市当局のウェブサイトに掲載されているビル・デ・ブラシオ市長の発言を見ると、ここ数か月、市長がこの問題を取り上げることはまれだ。

3月のメディア電話会議でオピオイド問題に関する質問を受けて、デ・ブラシオ氏は「非常に厄介だ」と答えた。また、 「いくつかの対策を講じている」と付け加えた。

「(コロナ禍の後)街の機能が回復し、正常な生活が戻るにつれ、市の対処が人々の助けになると信じている。しかし、オピオイドが非常に危険であり、さらなる対策を講じる必要がある」と述べた。
 
フェンタニルは、モルヒネの約50〜100倍の強さを持つ中毒性の高い鎮痛剤。ほとんどは中国で製造か、もしくは中国から供給された前駆体(材料)から合成されている。直接または南部国境を経て米国に密輸されている。

麻薬カルテルやディーラーは、薬物の効力を高めるためにヘロインを混ぜている。近年、麻薬犯罪組織は、フェンタニルを「M30」と刻印された小さな青い錠剤に入れて、処方箋付きオピオイド鎮痛剤「オキシコドン」に似せたものを作っている。

米麻薬取締局(DEA)は9月27日、フェンタニルとメタンフェタミンを含む偽造医薬品は、2021年に入ってから950万個以上押収されたと発表した。すでに、過去2年間の押収数を上回っている。「臨床検査によれば、致死量とされる少なくとも2ミリグラムのフェンタニルを含む偽造医薬品の数が、劇的に増加している 」とDEAは警鐘を鳴らしている。

ブライトバート・ニュース・ネットワークによれば、メキシコ当局は2019年、地球上の全人口を死に至らしめるのに十分な量とされる25トンのフェンタニルを押収した。中国からの貨物から摘発したという。

(翻訳編集・武田綾香)