2019年5月8日、バンクーバーの裁判所に出廷するため自宅をでる中国大手情報機器メーカー・華為科技(ファーウェイ)CFOの孟晩舟氏(Getty Images)

「孟晩舟氏歓迎の横断幕は暖色系使え」中国当局、メディアに細かい報道指針=米VOA

米国の中国語メディア「中国数字時代(China Digital Times)」はこのほど、2010年以降、中国当局の国内報道機関に対する報道・取材指針、約数百件を入手しており、同ウェブサイトで公開している。

その内容は中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟副会長の帰国や河南省の洪水被害など多岐にわたっている。孟氏を出迎えする際に使用する横断幕の色を指定するなど、細かく指示していることがわかった。

「孟晩舟氏と米司法省の起訴猶予交渉に関して、外交部(外務省)の権威的な情報に基づき、正確に報道するようにせよ。全体的には、関連報道を控えよう」

「(孟氏)関連報道の分析と評論を行ってはならない。海外メディアの報道を引用してはならない」

「平安金融中心大厦、京基100大厦(中略)などに対して、今夜『孟晩舟さん、お帰りなさい』という横断幕をかけるよう要請する。他の宣伝内容についての放送を一時停止する。横断幕は暖色系の色を使うように。例えば、背景色が赤で、文字は白」

報道指針の中には、今年7月に河南省鄭州市で記録的な大雨による洪水が発生したことに関する内容もある。

「報道の重点を被災後の復興に置く」「(豪雨で)死亡した住民の写真や映像を公開してはならない。悲しい雰囲気を醸し出してはならない。損害規模の統計データは権威的な情報を引用しなければならない」とその詳細を規定した。

米人権団体フリーダムハウスの中国問題専門家、アンジェリ・ダット(Angeli Datt)氏は、中国数字時代が当局の報道指針を集めていることについて、「非常にありがたい。報道にこれほど多くの命令を出しているとは知らなかった」と米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)に語った。

VOAは他の専門家の話として、「中国当局は報道において、非常に細かいところまで注意を払っている。当局は中国の報道機関を全方位的にコントロールしている。当局にとって当たり障りのない話題についても手を抜いていない」と指摘した。

国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチのアナリストである王亜秋氏は、指針は「中国報道機関の内部運営の実態を反映した」との見方を示した。

王氏によると、中国の報道機関には当局による強制的な検閲と自己検閲がある。同氏は、中国当局が検閲について「明確なルールを持っていない」とした。

英国人記者のトニー・チェン(Tony Cheng)氏は2011~20年まで、中国国営中央テレビ(CCTV)で勤務した。同氏によると、中国当局が巨大経済圏構想「一帯一路」を発表して以降、CCTVは東南アジア各国に関する話題を、突然、敏感な話題として扱い始めた。中国当局は、ミャンマーのロヒンギャ難民問題や、タイの政治情勢などに関して報道規制を敷いた。

マイケル・オッティ(Michael Ottey)氏は2014年から2年間、中国政府系メディア「中国日報(チャイナー・デイリー)」で編集スタッフとして勤めた。

「同僚の中国人編集スタッフは記者たちに『チェックする人』と呼ばれていた。このスタッフは、一部の報道が政治的に敏感な話題に触れたかをチェックする」

オッティ氏は「中国当局の『友人』と『敵』はよく変わるから、チャイナー・デイリーは常に自己検閲を強いられる。また、チャイナー・デイリーの幹部は報道していいかどうかの判断に関して、いつも中国指導部に意見を尋ねていた」と話した。

同氏は、「チャイナー・デイリーはメディアではなく、中国当局のイメージを保つためのPR企業だと感じた」とした。

フリーダムハウスのダット氏は、これらの報道指針を通じて、「中国当局がメディアを支配し、報道規制を行う手法を知ることができる。しかも、(真実が暴かれるのではないかという)中国当局の強い不安を表した」との認識を示した。

(翻訳編集・張哲)