バイデン氏、台湾情勢で中国批判 インド太平洋経済枠組み模索へ

2021/10/28
更新: 2021/10/28

[ワシントン/バンダルスリブガワン 27日 ロイター] – バイデン米大統領は27日、日米中韓や東南アジア諸国連合(ASEAN)などが参加してオンラインで開催された東アジア首脳会議(サミット)で、台湾海峡における中国の「強制的な行動」が地域の平和や安定を脅かしているとし、深い懸念を表明した。

バイデン氏はまた、インド太平洋地域のパートナー国と地域の経済枠組み構築を巡る協議を開始する考えを示した。

バイデン氏は、米国の台湾へのコミットメントは「堅固」だと改めて強調した。

会議に参加した中国の李克強首相は、南シナ海における平和と安定、航行と上空飛行の自由を守ることが全ての人の利益にかなうとの見解を示し、「南シナ海はわれわれの共通拠点だ」と語った。

中国軍機が台湾防空識別圏に繰り返し進入していることから、台湾海峡の情勢は緊迫している。

バイデン氏はまた、ASEAN首脳とともに、クーデターで全権を掌握したミャンマー国軍を非難。クーデターは地域の安定を損ねているとし、拘束者の解放と民主的な政治体制の回復を求めた。

ASEANはミャンマーが4月の和平に向けた合意を履行していないとして国軍トップのミン・アウン・フライン総司令官を首脳会議に招請しなかった。首脳会議は同国からの代表不在で開幕した。

バイデン氏はまた、中国の新疆とチベットの両自治区での人権と、香港市民の権利を支持するために発言し続けると表明した。

同氏が地域の経済枠組み構築に言及した背景には、トランプ前大統領が環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱して以来、米のアジア太平洋地域の戦略に経済的要素が欠如していると批判されていた流れがある。ただ、バイデン政権はTPP復帰には消極的だ。

政権高官は、労働者や中間層の生活改善に力点を置いて米国の将来的な地位を盤石にし、インド太平洋地域への経済的関与を方向付ける枠組みの構築を目指していると説明。ホワイトハウスは「貿易円滑化に関する共通の目標」や脱炭素およびクリーンエネルギーの基準を定義づけるものになると説明した。

一方、オーストラリアは、ASEANと「包括的戦略パートナーシップ」を構築することで合意した。モリソン首相は外交、安全保障面での関係強化につながると述べた。

Reuters
関連特集: 国際