2020年8月10日、シカゴのベストバイで窃盗事件が発生した(Scott Olson/Getty Images)

棚ごと持ち去る万引き犯も...米小売店、窃盗で業績圧迫

米国では万引きが深刻な社会問題となっている。世界最大の家電量販店ベスト・バイのコリー・バリー最高経営責任者は、組織化された犯罪グループによる万引きが増え、業績が圧迫されていると訴えた。また、窃盗犯の攻撃的な行動により、従業員がトラウマに陥る事態もあるという。

バリー氏はウォール街のアナリストとの電話会談で、窃盗犯が銃やバールを持ち込んで従業員や顧客を脅す事件が多発し「従業員にとってトラウマになるような事態となっている」と述べた。同社では対策として、警備員を増員するほか、従業員の安全を最優先し、窃盗犯と物理的な衝突をさける方針を定めているという。

米国では窃盗犯が集団で店舗に侵入し、棚ごと高額商品を持ち去っていく手口が横行している。バリー氏はCNBCとのインタビューで「組織的な万引きにより、収益に影響が出ているだけでなく、すでにひっ迫している労働状況がさらに厳しくなっている」と訴えた。

組織化された犯罪ネットワーク

窃盗集団により苦境に立たされているのはベスト・バイだけではない。CVSヘルスやクローガーなどの小売業者も深刻な被害を受けている。薬局チェーン大手ウォルグリーンは、万引き被害によりカリフォルニア州サンフランシスコの5店舗の閉鎖を余儀なくされた。いまや同州の大都市は万引き犯罪の「ホットスポット」となっている。

これらの窃盗事件の背後にあるのは、組織化された犯罪ネットワークだという。犯罪組織が500ドルから1000ドルの報酬で若い男性を募集し、商品を盗ませるというものだ。後に商品は、他の地域に輸送されたり、オンラインで転売されたりしている。法執行機関によると休暇シーズンに犯行が増加するという。

「犯罪ネットワークのボスが彼らを組織し、バールや車を貸し出し、逃走ルートを確保する。盗む商品のリストも用意している」と法執行・小売連合のベン・デュガン氏は語る。「非常に混沌としているように見えるが、実は非常によく組織化されている」。

カリフォルニア州では2014年に市の法律が改正され、被害額が950ドル以下の窃盗は軽罪に分類されるようになった。その結果、警察が万引きを取り締まらなくなったことの要因も相まって、同法が施行されてからロサンゼルス市警に寄せらせた1年間の万引き報告件数は25%増加。電卓を持って950ドル以下に抑える窃盗犯も現れ、反対派からは抗議の声があがった。

増加する窃盗件数を受けて、カリフォルニアのニューサム州知事は7月、950ドル以下の万引きも犯罪とする新法に署名。しかし、犯罪組織の一員として万引きを働く者や、窃盗品の転売目的がある場合のみと対象を限定している。