米中経済戦の最中…サムスン電子、テキサスに新たな半導体工場を建設

2021/12/08
更新: 2021/12/08
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半導体供給網の確保をめぐり米中経済戦が激しさを増すなか、韓国サムスン電子が米テキサス州テイラー市に半導体工場を新設すると発表した。米国は今回の新設について、米政府の供給網再編に対する「米韓の持続的な努力の産物」と評した。いっぽう中国は、ファーウェイに対する制裁や米企業買収の失敗で、半導体市場拡大に苦戦している。

サムスン電子は11月23日(現地時間)、テキサス州知事官邸で開かれた記者会見で、米国内に新規ファウンドリー半導体生産ラインの建設敷地として同州テイラー市を最終選定したと発表した。同日の会議にはサムスン電子キム・ギナム代表取締役副会長、アボット州知事、コーニン米上院議員らが参加した。

同市の工場新設には170億米ドル(約1兆9500億円)が投じられ、同社の米国投資の中では過去最大規模となる。サムスン電子によると、今回の工場は5G、HPC(高性能計算)、AI(人工知能)など先端技術に不可欠な半導体が生産される。キム副会長は「グローバル半導体供給網の安定化はもちろん、雇用の創出、人材養成など地域社会の発展にも寄与する」と述べた。

米の制裁 中国半導体供給網遮断の布石

米ホワイトハウスは今回の工場新設について「供給網の保護はバイデン大統領と行政府の最優先課題」と述べ、一企業に対する投資より「米韓共同の成果」であることを強調した。米政府は半導体が安保事案であることを示している。

米ホワイトハウスのディーズ国家経済会議委員長、サリバン国家安全保障会議補佐官は11月23日、サムスン電子の投資発表を歓迎する共同声明を発表。新工場建設について、すでに5月の米韓首脳で半導体における相互補完的な投資を促進することで合意していることを強調した。

専門家は今回の半導体工場新設が米国の安定した供給網確保という点で大きな「象徴性」を持つと指摘する。中国は韓国サムスン電子、SKハイニックス製半導体の40~50%を輸入する最大の市場だった。今年5月の米韓首脳会談を控え、米国は中国をけん制するために、中国への半導体供給に苦言を呈するのではないかとの見方が韓国内にあった。

韓国国内の予想はあたった。サムスン電子に次ぐ世界2位のDRAMメーカーであるSKハイニックスは江蘇省無錫市に大型半導体工場を持つ。中国新発集団と共同出資する計20億元(約3700億ウォン)の半導体工業団地新設計画が無錫市政府より発表されていたが、工場建設に米政府は反対しており、計画は先行きが不透明になったという。

ロイター通信11月18日付の報道によれば、米政権高官は「米国と同盟国の技術を利用して中国が軍事力近代化に役立つ最先端半導体を製造することを防ぐことに引き続き注力する」と述べた。

2011年3月23日、カリフォルニア州サンノゼで開催されたメディア&アナリストイベント「Samsung MOBILE-ization」で、サムスンのビデオカメラ内部の半導体が紹介された(Justin Sullivan/Getty Images)
 

経済および軍事の両面で必須となる半導体の確保は国家安全保障上の課題だ。議会に政策立案を助言する議会調査局(CRS)の報告書2021年1月は「米政府は法律、規制、ライセンス制度を通じて、軍民両用可能な技術の輸出を規制するシステムを改革してきた。その主な目的は、中国政府の産業政策により先端技術で民間・軍事で世界覇権を狙うことの懸念を解消するためだ」と明言している。

バイデン政権率いる半導体供給網の再編には日米豪印戦略枠組み「クアッド」も加勢している。9月ワシントンで行われた首脳会談後の共同宣言には「半導体含む戦略物資の供給網強靭化」が明記されている。先般熊本県で世界最大手・台湾積体電路製造(TSMC)の工場が建設されることが正式発表された。

中国企業を排した米半導体供給網の再編は、複数の企業にプラス効果をもたらした。米国のファーウェイ制裁後、サムスン電子は世界5G装備市場のシェアを伸ばし、米中戦の恩恵を受けた。米国政府によるサムスン電子、インテル、TSMCなどへの大規模な投資が行われたことも、中国企業の市場シェア拡大を抑える格好となった。

インテルは9月、アリゾナ州に200億ドルを投資する次世代ファウンドリー新工場に着工した。 半導体受託生産世界大手の台湾TSMCも120億ドルを投じて同州に工場を設置することを決めている。

米国が同盟国との連携を背景にした牽制を強めるにつれて、中国は半導体技術確保で苦戦している。最近、中国企業による米マイクロン・テクノロジーや米サンディスクの買収が白紙化され、外国技術導入による育成が挫折した。さらに、中国半導体の象徴だった半国営企業・清華紫光集団が倒産している。

中国半導体自給率は2010年10.2%で10年後の2020年には15.9%に増えた。しかし韓国サムスン電子、同SKハイニックス、米インテルなどを除けば、中国企業の比率は5.9%に過ぎない。日本経済新聞10月の調査によると、中国政府の掲げた2025年までの目標値70%には遠く及ばない。

崔潤水(CHOI YUNSU)