香港選挙に「深刻な懸念」G7とEUが共同声明 

2021/12/22
更新: 2021/12/22

日米欧など主要7カ国(G7)の外相と欧州連合(EU)の外務・安全保障政策上級代表(外相)は20日、親中派が圧勝した香港立法会議員選挙の結果を受けて、民主的な選挙制度が侵食されていると「深刻な懸念」を表明する共同声明を発表した。

声明では中国に対し、香港の高度な自治を認めた中英共同宣言を順守し、基本的な権利と自由を尊重するよう求めた。そのうえで、香港の政治機関に対する信頼を回復し「民主主義的価値と、人権および自由の擁護を推し進める人たちに対する不当な抑圧」を終わらせるよう呼びかけた。

中国の習近平指導部が主導して選挙制度が変更されてから初めて行われた19日の香港立法会(議会、定数90)選挙では、親中派が89議席を獲得、中間派は1議席だった。一般の有権者が投票できる直接投票枠(定数20)の投票率が過去最低の30.2%となり、前回2016年の58.28%を大きく下回った。

香港が反政府的な動きを取り締まる「香港国家安全維持法」を施行して以来、初めての選挙でもあった。2月には、民主派が立法会選挙に向けて実施した2020年の予備選が政権転覆の企てにあたるとして、黄之鋒氏ら47人を同法の国家政権転覆罪で起訴。親中派当選のため、統制強化を進めていた。

EUのジョゼップ・ボレル外務・安全保障政策上級代表は別の声明のなかで「今回の選挙は、市民社会に対する継続的な圧力であるとともに『一国二制度』の原則をむしばむ第一歩でもある」と懸念を表明。「来年3月に予定されている香港行政長官選挙を含め、引き続き動向を注視していく」と述べた。

米国に拠点を置く非政府組織(NGO)「香港民主委員会」の朱牧民氏は、「大多数の香港人が、中国共産党に完全に支配された不正な選挙をボイコットした」と指摘。「愛国者」と認められた人のみが立候補できる選挙だったと非難した。

「分別のある真の香港人は、どのような政治理念を持っていようと、中国共産党の主導下にある香港では一切の自主性が与えられていないと言えるだろう」。

米国をはじめ国際関係担当。