米国の国家安全保障関連団体「State Armor」は6月30日、連邦議会に報告書を提出し、中国共産党と関係があるとされる「環境法律研究所」(ELI)について、調査を行うよう求めた。
ELIのウェブサイトによると、同団体は2018年以降、「気候司法プロジェクト」(CJP)を通じて、2,000人以上の米国の裁判官に対し、環境法に関する研修を実施してきたとしている。
State Armorは、過去数十年にわたる活動の中で、ELIが中国共産党政府と関係を有する組織や、中国共産党とつながりのある団体、さらに軍事研究に関係する機関などと関係を築いてきたと指摘している。
報告書は、地球規模の気候政策をめぐる分野において、非対称的な状況が生じている可能性があるとしたうえで、中国共産党が米国の制度や機関に影響を及ぼし、エネルギー分野に影響を与えているとの見方を示している。
また、ELIが中国側の地政学的な意図と一致する形で活動し、西側諸国の気候政策に関する情報や調整面での支援を、中国に関連する主体に提供している可能性があるとも指摘している。
報告書では、「ELIは長年、国際的な環境協力の推進役であると位置付けてきたが、実際の運営や提携関係、成果については、これと異なる側面が見られる」としている。
さらに、ELIが中国共産党やその関連機関と関係を持つ複数の組織と、広範な協力関係を築いているとする分析結果も示している。
気候司法プロジェクトの実態
報告書によると、ELIが影響を及ぼす手段の一つとされるのが「気候司法プロジェクト」(CJP)である。このプログラムは司法教育の一環として、裁判官に対し気候科学や関連法の研修を提供してきたとしている。
一方で報告書は、CJPで使用される教材について、中立性に課題がある可能性があると指摘している。具体的には、エネルギー企業の法的責任を重視し、訴訟を通じた規制強化を促す内容が含まれているとしている。
また、教材や資料の一部が、審理中の案件に利害関係を持つ個人によって作成・資金提供されている場合があるとし、その関係が参加する裁判官に十分に開示されていないケースもあると指摘している。
State Armorは議会指導部宛ての書簡で、「問題は裁判官の継続教育の必要性ではなく、外国と関係のある組織が関与する教育プログラムが、司法の公正性やその認識に影響を及ぼす可能性があるかどうかである」としている。
さらに書簡では、「過去30年にわたる活動の中で、ELIの取り組みが中国共産党の戦略や安全保障上の利益に資する結果となっている可能性がある」との見方を示している。
また、米国内のエネルギー生産や産業活動への影響についても言及し、中国主導のエネルギーへの依存が高まる可能性があるとしている。
エネルギー政策への影響論
報告書は、ELIが裁判官に提示している考え方が、米国内のエネルギー生産に対する規制強化につながる可能性がある一方、中国国内では同様の枠組みが確認されていないと指摘している。
そのうえで、「結果として、米国のエネルギーや産業に影響を及ぼす可能性がある」としている。
ELIはフォックス・ニュース・デジタルの取材に対し、中国におけるプロジェクトは2024年に終了したと説明し、中国共産党政府の利益を推進しているとの指摘を否定している。
広報担当者は、「ELIは50年以上にわたり、各国の環境保護の取り組みを支援してきた。中国での活動終了は通常のプロジェクトの一環であり、特定の政府の利益に資するものではない」と説明している。
また、「CJPは中国国内で活動を行っていない」としている。
一方、フォックス・ニュースは、ELIが中国での活動停止を主張する一方で、中国関連の研究や関係者との協力が継続していると報じている。ただし、2024年以降に中国国内でプロジェクトが実施された明確な証拠は確認されていないとしている。
State Armorは議会に対し、ELIと中国関連主体との関係の範囲に加え、教育プログラムの資金源や内容の策定過程、専門家の選定、運営体制について調査を求めている。
米議会と上院議員の反応
米連邦上院議員トム・コットン氏は、「外国と関係を持つ可能性のある研修を受けた裁判官が司法に影響を与えることは懸念される」と述べた。
そのうえで、「仮に疑惑が事実であれば、法的責任が問われる可能性がある」としている。
また、上院議員テッド・クルーズ氏は、これまでもELIに対して批判的な立場を示しており、同団体の活動が米国に影響を与えているとの認識を示している。
クルーズ氏は2025年6月の公聴会で、「エネルギー分野をめぐり、組織的な動きがある可能性がある」と述べたうえで、訴訟を通じた影響力の行使について言及した。
さらに、司法制度への影響についても懸念を示し、「非公開の研修などを通じて特定の考え方が広がる可能性がある」と指摘した。
そのうえで、「司法の独立性や法の支配に関わる問題である」と述べている。
State Armorはマイケル・ルッチ氏が運営している。フォックス・ニュースによると、同団体が資金提供者を公表していない理由について、提供者を中国共産党からの干渉から守るためであるとしている。
また、ルッチ氏は2025年4月の『ウォール・ストリート・ジャーナル』のインタビューで、利益相反を避けるため、企業や外国からの資金は受け取らない方針であると説明している。
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