ウクライナ侵攻について…中国共産党の本音を暴露する「大翻訳運動」

2022/05/02
更新: 2022/05/02
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インターネットコンテンツを制限する「金盾のファイアウォール機能(万里のファイアウォール)」に囲まれた中国国内で発信されているロシアのウクライナ侵攻に関する投稿意見を国外のインターネットユーザーに向けて翻訳する「大翻訳運動(大翻译运动)」アカウントが登場した。このアカウントは同戦争に関する中国国内のネットの実態を世間に曝すことを目的としており、翻訳されている内容は中国共産党(CCP)の宣伝工作とロシア批判禁止方針に大きく影響を受けているものばかりである。

クラウドソーシング型のこの匿名Twitterアカウント(TGTM_Official)に参加する某ユーザーが説明したところでは、中国語のソーシャルメディアプラットフォームで発信されている意見をボランティア翻訳者が英語などに翻訳している。

同アカウントが登場したのはロシアとウクライナ間の緊張が高まりつつあった2022年2月中旬のことで、複数のボランティアが中国語のオンラインコメントを選択してさまざまな言語に翻訳し、ハッシュタグ「#TheGreatTranslationMovement」を付けてツイートするという仕組みである。

ツイートのいくつかはブロックされ、膨大な量の親中コメントが同ハッシュタグで投稿されているが、親中投稿者等がアカウント閉鎖を企んだため、まもなく同アカウントに関する苦情がTwitter社に通知された。

翻訳者等が一部ユーザーの「極端な意見」を「国全体」の見解のように捉えて発信していると糾弾する声が上がったのである。

某ボランティアは、「偏見を持たずに、投稿された意見をその通りに翻訳している」とし、「翻訳された意見をどのように捉えるかは閲覧者次第である」と述べている。

某ボランティアが説明したところでは、香港と台湾の人々の憎しみが表れている投稿も翻訳されている。

某ボランティアはまた、「一部の中国人投稿者は自分でどれほど恐ろしいことを言っているのか気付いていない」とし、「これは中国共産党が育成してきた『狂信的な愛国心と共産党への忠誠心』に基づく集合的無意識の行動の類である」と話している。

台湾に拠点を置く反体制派の龔與劍(Gong Yujian)氏の見解では、大翻訳運動により、中国共産党による卑劣なインターネット抑制措置が白日の下に曝されることになった。

龔氏は、「中国共産党による長期的な欺騙と洗脳により、中国の国粋主義は『ウルフ・オブ・ウォー ネイビー・シールズ傭兵部隊 vs PLA特殊部隊』に代表されるように非常に交戦的、非友好的、敵対的なものになっていると断言できる」と語っている。「ウルフ・オブ・ウォー ネイビー・シールズ傭兵部隊 vs PLA特殊部隊」は、中国外交官やネット荒らし屋にとって魅力的な中国の大ヒット映画である。

同氏はまた、「基本的に、中国国民の目にはウクライナが攻撃者で、ロシアは侵略されたかわいそうな国と映っている」とし、「思考回路が完全に逆さまになっている」と述べている。

同氏によると、大翻訳運動により、本来中国国民のみが見るべきコンテンツが国際社会へ流出したわけである。

同氏はさらに、「中国には国内向け公式宣伝と国外向け公式宣伝が存在する。この2つは非常に明確に使い分けられている」とし、「同翻訳アカウントにより、在外の特定集団のみに向けて発信されたはずの国内向け宣伝が世の中に公開された」と説明している。

また続けて、「中国共産党にとって、これは非常に高度な形態の『政府転覆』の試みである」とも述べている。

中国ソーシャルメディアから選択・翻訳された記事の1つに、群衆の前に立つウラジーミル・プーチン露大統領のスクリーンショットに「世界の半分の国がプーチンをさいなんでいる」というキャプションが付けられた投稿がある。これは中国ソーシャルメディアユーザーから何万件ものコメントを集めている。

こうしたコメントにより、どれほど「プーチンが中国の『Tiktok(抖音)』で偶像化されているか」を垣間見ることができる。Twitterには、「我々、中国は味方だ。頑張れ」と投稿したユーザーも見られる。

大翻訳運動アカウントで翻訳・ツイートされた某動画では、中国人学童等がロシア政府の主張通りの「特別軍事作戦」という用語を用いて今回のロシアのウクライナ侵攻を表現し、ロシア軍が数時間でウクライナ軍を撃破したという明らかに偽りの情報を繰り返す映像が流れている。

台湾民主主義実験室の沈伯洋(Shen Boyang)理事長は、こうしたコメントは「西側諸国には大した影響はないが中国国内では国民の考え方を大きく感化するものである」と述べている。大翻訳運動アカウントの翻訳により「中国の実態が暴露され、これは中国政府にとっては喜ばしくない事態」となっている。

Indo-Pacific Defence Forum