「緑」が贅沢品に、長期の干ばつでチリ首都の景観一変

2022/05/03
更新: 2022/05/03
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[サンティアゴ 26日 ロイター] – チリの首都サンティアゴ。この街では、芝生が貴重な贅沢品になりつつある。10年にわたって干ばつが続き、市当局が水の使用を制限する緊急措置を導入せざるをえなくなったからだ。当局や造園業者は、青々と葉を茂らせる植物を乾燥に強い品種に植え替えている。

アンデス山系に位置し、銅と食料の一大産地であるチリは、今年で13年目という長期の干ばつに見舞われている。そして、約600万人が暮らすサンティアゴの変貌は、乾燥化と気候変動に適応せざるをえない現状を浮き彫りにしている。

市内の高所得層向け地区で緑地管理部門を担当するバレンシア・ベガ氏は、「サンティアゴで行われている造園作業は、何年も前に地中海性気候に合わせて組み立てたものだ。今では半砂漠気候だ。かつてのように水を無駄づかいすることはできない」と、説明する。

今月初め、チリは首都に給水制限計画を発表した。500年近くに及ぶサンティアゴの歴史で初めてのことだ。計画は、水圧制限に始まり輪番制の部分断水に至る4段階の警報システムとなっている。

ベガ氏が担当する地区では、地方自治体が、これまで緑地だった一般の道路や幹線道路脇のスペースを、ほとんど水を消費せず点滴かんがいで育つ植物を中心とした持続可能な庭園に変えていく計画を立てている。

「これまでの造園手法に比べて、水の消費量を約90%節約できる」とベガ氏は言う。

市内には格差もある。富裕層が暮らす地域では緑豊かな草地や葉を茂らせた並木道もあるが、それ以外の地区ではそうした風景はめったに見られない。とはいえ、在来種の植生の活用や、水の無駄遣いを減らす新しいかんがい手法の採用といった変化はどの地区でも取り入れている。

経済学を専攻するアラチェリー・ロドリゲスさん(26)は、サンティアゴ北西部の低・中所得地域であるプダウエルで暮らしている。

「私が暮らしているあたりでは、近所に公園も緑地もない。水をやらないといけないようなものはほとんどない」とロドリゲスさん。「水を無駄遣いしないようにしている。私たちには自制心がある」

<雨の多いロンドンではない>

チリ大学で水管理を研究するロドリゴ・フュスター氏は、アンデス山脈付近の気候が乾燥化し、降雨や降雪の減少に伴ってサンティアゴ市内に流入する川の水量も減ったため、市民らは水の使い方を改める必要に迫られた、と説明する。

「水の消費量を減らす余地はたくさんある」とフュスター氏。「サンティアゴのように気候の乾燥化が進んでいる都市では、芝生のために水を使うことは受け入れがたい。ここはロンドンではないのだから」

サンティアゴの都市公園にはマイポ川とマポチョ川から運河で水を引いているが、水量は平年の8割減だ。公園の管理担当者は、漏水箇所を修理し、かんがいシステムを更新し、在来種を中心とした乾燥気候への適性が高い樹木の森を育てている。

都市公園の副園長であるエデュアルド・ビヤロボス氏は、「干ばつはあらゆる人に打撃を与えている」と語り、水を節約するために日常的な習慣における「パラダイムシフト」が求められている、と指摘する。

ビヤロボス氏によれば、公園や市内の各所で合計5ヘクタールの芝生が廃止されたという。これによって、1回の給水サイクル当たり30万リットルの水が節約されている。

こうした変化に対して、住民の賛否は分かれている。新たに導入された景観は岩山同然だという人もいれば、これもまた時間が経てば美しくなるという意見もある。

ディナ・ロブレスさんの自宅の庭は持続可能性を考えて作られている。ある午後に訪れると、庭は低木や色彩豊かな花々で埋まり、穂をつけた背の低い草が午後の微風に揺れていた。近くの植物からはミントやローズマリーの香りが漂ってきた。

「近所の人は、花が咲くと思ったのに石ころばかりと言って植え替えを嘆いていた」とロブレスさんは笑いながら言う。自宅近くの植物が花を咲かせるまでには3カ月かかったと言う。

「ようやく、紫や青の色合いの花が一斉に花開いた。とても美しい」

(Natalia A. Ramos Miranda記者、翻訳:エァクレーレン)

Reuters
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