上海・北京、コロナ規制強化 市民「まるで監獄」

2022/05/10
更新: 2022/05/10

[上海/北京 9日 ロイター] – 中国の上海市と北京市は9日、新型コロナウイルス感染抑制に向けた規制を一段と強化した。厳しすぎる当局の対応が市民の怒りをあおるとともに、法曹界からは対応の合法性を疑問視する声も上がっている。

上海市では、当局からの公式発表はないものの、市内16区のうち少なくとも4区の住民は週末に外出や宅配の受け取りが不可という通知を受け、食料の備蓄に奔走する羽目になった。

規制対象となった上海市民からは「まるで監獄のようだった。私たちはウイルスを恐れているのではない。この政策が怖い」と怒りの声が漏れた。

首都北京でも、これまでで最も厳しい規制が課された。南西部では、9日には市民の外出が禁止され、感染対策に無関係な全ての活動の停止が命じられた。

他の地区でも在宅勤務をするよう指示があったほか、一部飲食店や公共交通機関が閉鎖となった。さらに9日には道路や集合住宅、公園も封鎖された。

こうした対策は、かつてないほど市民の怒りを招いている。上海市当局が陽性者の隣人を強制的に隔離し、消毒のため家の鍵を渡すよう要求しているというインターネット上の投稿がさらに怒りをあおった。

インターネット上では、住民がドアを開けるのを拒否したため警察がピッキングする様子を映した動画や、検査で陰性だったにもかかわらず自宅に消毒薬を散布するよう要求された女性が当局と口論している電話の音声記録が投稿されている。

華東政法大学で法学を教えるTong Zhiwei教授は、8日のソーシャルメディアへの投稿で、このような行為は違法であり、やめるべきだと指摘。中国の大手法律事務所の弁護士であるLiu Dali氏も、同様の指摘を当局に書簡で送付した。

しかし、両氏の指摘は当局の検閲の対象となった。Tong教授の短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」のアカウントは8日夜時点でブロックされている。

Reuters
関連特集: 中国政治