ロシアと中国、凶悪なミャンマー軍事政権の同盟

2022/07/28
更新: 2022/07/27

ロシアと中国はミャンマー軍事政権の強力な同盟国であり続け、2021年2月のクーデター以来、凶悪な軍事政権が東南アジアのミャンマーの支配を維持することを可能にしてきた。

ミャンマーの強力な二大隣国が軍事的および政治的支援を提供する一方で、ミャンマーの民主政府の支持者は政権奪取に抗議し、しばしば悲惨な結果が生じている。両国にはタッマドー(Tatmadaw)と呼ばれる軍事政権を支持する理由がたくさんあるが、なかでもミャンマーの天然資源と戦略的な立地が主な動機だ。また、ミャンマーの軍事指導者は2022年2月のロシアのウクライナ侵攻を支持している。中国は中国の雲南省からミャンマーのチャウピュー海港までの2,000キロメートルの鉄道/高速道路「中国・ミャンマー経済回廊(CMEC)」の開発を進めており、これにより、ベンガル湾とインド洋への陸橋を中国が獲得することになる。

ロシアは同軍事政権に軍用機を供給している。さらに、ロシアと中国共産党は、新疆ウイグル自治区で使用されているような装甲車両と顔認識システムを提供しており、中国共産党は改修した潜水艦をミャンマーに移送したと2022年6月にニュース雑誌のザ・イラワディ(The Irrawaddy) が報じている。共に国連安全保障理事会の理事国を務めるロシアと中国は、ミャンマー現政府に対する措置を求める決議を拒否した。

2022年7月初旬にイラワディ誌が報じたところによると、タッマドーは2000人以上を殺害しており、その多くは2020年11月に選出された国民統一政府(NUG)の指導者たちを支持した人々だという。この他にも、クーデターと軍事政権に抗議した一般市民等、必ずしもNUGとは繋がっていない人々も被害者となっている。

2022年6月のラジオ・フリー・アジア(Radio Free Asia)の報告によると、2022年6月初旬に国民統一政府を支持した女性が斬首され、2022年5月中旬にはミャンマーのサガイン州の村で拷問や銃殺された29人の男性の死体が焼かれたり切断されたりするなど、殺害の多くは特に残虐なものであった。

オンライン誌「ザ・ディプロマット」は2022年7月、反政権抵抗勢力を支持する民間人を抑止するために斬首の動画がオンライン上に投稿されたのではないかと推測している。

2022年7月初旬にラジオ・フリー・アジアが報じたところによると、軍事政権軍は抵抗の多い地域で130以上の宗教施設を焼き払ったり、重火器を使用して損害を与えたりした。

さらに、2022年6月中旬に国連人権理事会の報告によると、軍事政権の犠牲者には子供たちが含まれている。国連の報告書は、「子どもたちへの執拗な攻撃は、軍事政権の堕落の深さと、無実の犠牲者に莫大な苦難と苦難を与えることでミャンマー国民を服従させようとする意欲を明確に示している」と述べている。

民主的に選出された同国のアウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)氏は、汚職容疑の裁判を控え、現在も拘束されている。(写真:2021年2月、ミャンマー最大の都市ヤンゴンで軍事クーデターに抗議する人々)

2022年4月にBBCニュースが報じたところによると、かつては市民の抗議行動が主流だった紛争は内戦へと移行している。2021年5月には、国民統一政府の武装組織「人民防衛軍(People’s Defence Forces)」が、クーデター前後に国軍の統制を維持したミン・アウン・フライン(Min Aung Hlaing)最高司令官率いる政権軍に対抗するために結成された。BBCニュースが報じたところでは、2020年の選挙で彼の将官たちは野党を支持し、結果が自分たちの不利になると広範な不正行為があったと主張した。ただし、選挙委員会はそのような主張の証拠を発見していない。

2022年4月、中国の王毅外相がミャンマーのウ・ワナ・マウン・ルイン(U Wunna Maung Lwin)外相と中国で会談した。中国外務省のニュースリリースによると、王外相は「未来を共有する中国とミャンマーの共同体を構築するという目標」について語ったという。

ミャンマーは南西沿岸の海に面しており、アジア制覇を目指す中国にとって極めて重要だ。中国のタッマドー支持や、武力紛争一歩手前の強要的な経済・外交的行動といった執拗なグレーゾーン戦術は、民主主義の勝利を困難にしている。

「中国政府が軍事政権を明確に支持する宣言は、同政権が最終的に反クーデター抵抗勢力に勝利し、レジスタンス運動に対する外部からの支援があっても結果は時間の問題であり、同政権こそが見ヤンマーにおける中国の実質的な経済的および戦略的利益の進展にとって必要な安定へと向かう最も可能性の高いルートだ、という算段を反映している」とイラワディー紙は2022年6月に報じた。

一帯一路事業であるCMECは、こうした共同プロジェクトの主要なもののひとつだ。中国は、中国の通貨である人民元のデジタル版をミャンマーで使用することを奨励している。さらに、新型コロナウイルス感染症(COVID -19)ワクチンを共有することで、中国は隣国ミャンマーの医薬品取引における中国の存在感を高めること目指している。国連はかつてビルマと呼ばれていたミャンマーでの人道危機を宣言し、西側の民主主義諸国はタッマドー政権を非難している。アントニー・ブリンケン米国務長官は、弾圧政権の「恐怖の支配」に言及している。

AP通信が報じたところによると、2022年7月中旬にブリンケン国務長官は記者団に対し「残念ながら前向きな動きは見られないと言っても間違いないだろう」とした上で、「逆に、ビルマ国民への弾圧が続いており、政権による暴力行為が横行している」と述べた。

Indo-Pacific Defence Forum