武漢研究所、ニパウイルスの合成生物学研究を実施 致死率60%

2022/08/15
更新: 2022/08/18

米ワシントン州シアトル市のスティーブン・キー(Steven Quay)医師は今月3日、上院の公聴会に出席し、中国科学院武漢ウイルス研究所(WIV)が致死率60%のニパウイルスの研究を行っていると証言した。

その証言によると、WIVは2019年12月にニパウイルスのゲノムの合成生物学研究を実施したという。ニパウイルスは、世界的なパンデミックを引き起こした中共ウイルス(新型コロナウイルス、SARS-CoV-2)より、さらに微小で、伝播力は新型コロナウイルスより弱い。しかしニパウイルスの致死率は60%で、新型コロナウイルスの60倍である。

欧米の一部の議員や専門家は新型コロナウイルの発生源について、武漢ウイルス研究所から漏えいし、中国政府がこの事実を隠ぺいしたと批判している。

同医師は、ニパウイルスの危険度は最高レベルの「BSL-4(バイオセーフティーレベル4)」であるとして、WIVの合成生物学研究は自身が知っている研究の中で、最も危険な機能獲得研究であると述べた。

キー氏は、バイオサイエンスに関する国際的な条約は、ニパウイルスやエボラウイルスなど致死率の高いウイルスの合成生物学研究を明確に禁止していると大紀元に語った。

合成生物学研究は、病原体の感染力や致死性を高めるために遺伝子や細胞などを組み合わせて操作して、生命機能を人工的に設計し、または人工の生物システムを構築するための生物機能増強研究である。

WIVが行った研究は、「つまりニパウイルスを分解し、最適化するために新たに組み立てるということだ」とキー医師は述べた。

「この行為は実際に、生物兵器禁止条約(BWC)に違反している。機能が増強されたニパウイルスによる感染が爆発的に拡大すれば、現在流行している新型コロナウイルスは軽いものになるに違いない」

19年3月、カナダ国立微生物学研究所(NML)は中国のWIVの要請を受けて、ニパウイルスとエボラウイルスのサンプルを提供した。提供には当時、NMLに勤務していた中国系女性研究者、邱香果博士を経由して行われた。

同年7月、王立カナダ騎馬警察(RCMP)は知的財産窃盗の疑いで邱博士と、同じくNMLで研究活動を行っていた夫の程克定氏の身柄を拘束した。これを受け、NMLは両氏を解雇した。カナダの野党とメディアは、トルドー政権に対して邱氏らの身柄拘束と解雇の理由を開示するよう求めているが、政権側はプライバシー侵害や国家安全保障上の理由で拒否している。

キー医師によると、国際データベースには、新型コロナウイルスの世界的大流行より前の中国国内の感染者データが登録されていた。これらのデータから、当時中国人感染者の体内から、ニパウイルスやスイカズラのゲノムなど「予想もしなかった20種類の汚染物質を発見した」と話した。

WIVが発表した論文や声明は、ニパウイルスを除く他の19種類の汚染物質について説明を行い、スイカズラのゲノム研究を行ったと認めた。しかしニパウイルスに関して、WIVは科学論文の発表や声明を行っていない。

キー氏は、自身の研究で見つかったニパウイルス株とNMLが武漢に提供したニパウイルス株とは違うとした。中国側はウイルス株に何らかの改変を加えた可能性がある。
 

張哲
張哲
関連特集: 中国