秋に党大会 指導部人事めぐる憶測飛び交う 「習下李上」の噂も

2022/08/27
更新: 2022/08/29
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今秋に予定されている5年に1度の中国共産党第20回全国代表大会(党大会)で、党最高指導部メンバーの刷新が行われる見通しだ。早くも人事をめぐる憶測が飛び交っている。

最高指導部の人事をめぐって党内には「七上八下」と呼ばれる暗黙のルールがある。つまり、68歳以上なら引退、67歳以下なら留任という不文律だ。

最高指導部を構成する党中央政治局常務委員7人の年齢と序列は次の通り:

1、習近平総書記  69歳

2、李克強総理  67歳

3、栗戦書全国人民代表大会(国会に相当、全人代)常務委員会委員長  72歳

4、汪洋全国人民政治協商会議主席  67歳

5、王滬寧党中央書記処書記  67歳

6、趙楽際党中央規律検査委員会書記  65歳

7、韓正国務院第一副総理  68歳

「七上八下」のルールを適用すれば、習近平、栗戦書と韓正の3氏は最高指導部を去ることになるが、3期目を目指す習近平氏は制限を受けないだろう。

2枠をめぐる争奪戦

栗戦書と韓正の両氏が引退すれば、最高指導部は2枠が空くことになる。この2枠をめぐってすでに争奪戦が起きている。有力候補として、胡春華副総理、陳敏爾重慶市党委員会書記、李強上海市党委員会書記、丁薛祥共産党中央弁公庁主任の名が取り沙汰されている。

現時点では、胡春華副総理は最高指導部入りする可能性が高い。国営新華社は16日、胡氏の動静について2回報道し、人民日報も27日、習近平氏の農業政策を支持するという胡氏の長文を掲載し、習氏への忠誠心を示したとみられる。このままでいけば順調に昇格するだろう。

胡氏は、李克強氏と同じ団派(共産主義青年団)に属する。習近平氏が2012年に最高指導者に就任後、自身の側近を党と政府機関の重要ポストに充てたため、団派勢力が急速に弱まった。胡春華氏は一時、胡錦涛国家主席の後継者と目され、17年の第19回党大会で最高指導部入りとの観測が出たが、実現に至らなかった。その後、25人で構成する党中央政治局の委員にとどまり、国務院副総理を務めた。

党内の勢力均衡を保つため、団派は引き続き最高指導部で1枠を維持するとみられる。

共産党中央弁公庁の丁薛祥主任(59)も最高指導部入りを果たす可能性が高い。丁薛祥氏は習近平氏が上海市トップだった時期に同市の秘書長を務めていた。13年に中央弁公庁に移り、「習近平政権の大番頭」として習氏の権力強化に取り組んでいる。

「之江新軍」の行方は…

習近平氏の側近の中で最も重要なのは、「之江新軍」と呼ばれる浙江省トップ時代の部下たち。習近平氏は02年からの5年間、浙江省党委員会書記を務めていた。当時の部下たちが中心になって習近平政権を支えている。その中に陳敏爾重慶市党委員会書記、李強上海市党委員会書記も含まれている。

陳敏爾氏は習近平氏の側近中の側近で、最高指導部に抜擢されるとみられていた。しかし重慶では現在、記録的な高温が原因で干ばつに見舞われ、経済活動に大きな影響が出ている。天災とはいえ、最高指導部の人事をめぐって権力闘争がぼっ発している今、わずかな失点でも昇進の道を閉ざしてしまう恐れがある。陳敏爾氏の最高指導部入りは不透明な状況になっている。

いっぽう、習近平氏の最側近で、最高指導部入りが確実視されていた李強上海市トップも、ここにきて風向きが怪しくなってきた。

李強氏は浙江省省長、江蘇省と上海市のトップを経験し、「之江新軍」の中でも一目置かれる存在だ。近年、上海市トップは06年に汚職で失脚した陳良宇氏を除き、いずれも政治局常務委員に昇格した。

ゼロコロナ政策で上海市は2カ月間の都市封鎖を行い、食料不足などで市民から強い反発が出た。次期総理レースの有力候補と目されてきた李強氏の昇格が危ぶまれている。

もし習氏は反対を押しのけて、李強氏を昇格させることができれば、党を統制できていることになる。逆に、李氏はこの争いに敗れれば、習近平氏の党内での権威が磐石ではないことを物語る。李氏の行方は習氏の影響力の強さを判断する一つの指標と言える。

飛び交う「習下李上」の噂も

習近平氏は18年、憲法を改正して国家主席の任期を2期(10年)までとする規定を撤廃し、3期目続投に向けての障害を取り除いた。

団派出身の李克強総理は今年3月の全人代で、「今年は私にとって総理を担当する最後の1年だ」と任期終了後に退任する意向を示した。ただ、最高指導部も退くかは不明。

現在、SNS上では「習下李上」(習近平が退任、李克強に主席の座を譲る)の流言が飛び交っている。だが、学者肌の李克強氏にその野心も、習氏に対抗するほどの実力もない。流言は反対勢力が仕掛けた「認知戦」に過ぎず、習氏の続投は確実視されている。

密室政治が行われてきた中国では、こうした噂が出たこと自体、党内に習近平政権への不満が高いことを表している。国内ではゼロコロナ政策に対して市民の不満が噴出し、国際社会では対中包囲網が着々と進んでいる。内憂外患の危機に直面している習近平氏にとって、3期目の政権をいかに安定的に運営するかが最大の課題となりそうだ。

張哲
張哲
李沐恩
李沐恩