中国の研究論文受け付けず…臓器収奪の懸念で=国際心肺移植学会 

2022/10/04
更新: 2022/10/03
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中国政府のもとでドナーの同意を得ないまま臓器を強制摘出している問題を理由に、国際学会は中国からの臓器移植に関するすべての研究論文の受理を禁じる方針を決めた。

末期状態の心疾患および肺疾患の研究分野で世界最大の国際学会である国際心肺移植学会(ISHLT)が発表した。こうした方針が医療学会から宣言されるのは極めてまれ。

方針は今年6月末に声明で発表された。「中国政府が殺害された被拘束者からの臓器や組織の調達を系統的に支援し続けているという多くの証拠があることから、中国からのヒトドナーの臓器、人体組織の提供に関連する投稿は、ISHLTでは受け付けない」と表明している。

また声明では、「他国が同意していないヒトドナーからの臓器や組織の使用に系統的に関与しているかどうか、またこの制限の対象となるかどうかを含め、これらの慣行が停止したという独立した証拠が得られるまで、この方針は毎年見直しが行われる」としている。

ISHLT倫理委員会の委員で、イスラエルのシェバ医療センター心臓移植ユニット所長のジェイコブ・ラビー氏は先月18日、大紀元時報への取材に対し、「この新しい方針は、事実上、中国からの移植関連臨床研究に対する全面的な学術的ボイコットである」と説明した。

「中国からのこのような研究成果物は、本学会の権威ある医学雑誌『心肺移植論文誌』に掲載することはできず、本学会の年次総会で発表することもできない」としている。

ラビー氏は、この方針の決定について、「この非道な移植行為から自身とその会員を遠ざけたいという思いを反映した」と話した。

戦慄の臓器狩り

近年、国際機関や米国務省などが発表した人権に関する年次報告書では、中国政府が拘束した法輪功学習者や少数民族、その他の良心の囚人が国家公認の形で生きたまま移植用臓器を強制摘出する対象とされていると指摘している。

法輪功(ファルンゴン)は法輪大法(ファルンダーファ)とも呼ばれ、「真・善・忍」の原則に基づく心身修養法。1999年以来、法輪功は中国共産党による迫害の対象となり、数百万人の法輪功学習者が拘束・収容されている。法輪功学習者収容人数の増加に伴い、2000年以降、中国の移植産業は急拡大を見せている。

2006年から、カナダの人権弁護士デービッド・マタス氏と同国の元アジア太平洋地域大臣故デービッド・キルガー氏は、中国政府が不法に拘束された法輪功学習者を対象に生きたまま臓器を強制摘出する犯罪について、40以上の証拠と証言を収集してきた。2006~07年までの調査報告に基づき、2009年に報告書『戦慄の臓器狩り(Bloody Harvest):中国の法輪功学習者からの臓器収奪』を共著で発表した。

ISHLTは、中国臓器収奪の問題が明らかになってから、中国からの研究成果の受理を禁じた初の国際学会である。

米ジャーナリストで、非営利団体「共産主義犠牲者記念財団(VOC)」中国問題研究員のイーサン・ガットマン氏は、先月19日の大紀元の取材で「これまで北京の移植改革という主張は、国際移植学会やWHO、バチカン市国の教皇庁科学アカデミーの医学指導者らによって支持されていた」と述べた。ガットマン氏は2014年に『ザ・スローター(殺処分)』 を執筆している。

「これらの姿勢は、中国の臓器狩りに反対する米国の政治的な行動のブレーキになっただけではなかった。中国共産党にとって、それは『殺人のライセンス』であった。しかし、ISHLTが発した銃声は、必ずや世界に響くだろう」と語った。

マタス氏は先月19日、大紀元の取材に対し、「(ISHLTの)方針のもう一つの意義は、中国の臓器移植制度、臓器供給源(移植用臓器はドナーによる臓器提供から)、移植件数(移植件数は極わずか)に関する中国共産党のプロパガンダを否定するものである」と述べた。

裁定

弁護士や人権専門家らによる英国の独立した民衆法廷「中国・民衆法廷」が2020年に発表した裁定では、「本法廷の判事団は全員一致をもって、合理的な疑いを超えて、中国でかなりの期間、極めて多くの犠牲者に対して、良⼼の囚⼈からの強制臓器収奪が行われてきたことを確信する。中国政府は移植用臓器の供給源についてレトリックを変えているが、本法廷ではその主張は受け入れられず、公式統計は改ざんされていると判断した」とされた。

今年4月、イスラエル移植学会会長を務めたジェイコブ・ラビー氏と、オーストラリア国立大学博士課程に在籍し、共産主義犠牲者記念財団の中国問題研究員マシュー・ロバートソン氏による共同研究が米国移植学会誌で発表された。この研究によると、過去数十年の間に中国の軍や地方の病院で「臓器提供者」となった多くの人々が、心臓を摘出されたときにはまだ生きており、移植手術が死因であったと指摘している。

マタス氏は「ISHLTの方針は、中国における移植乱用を停止させるためのテコとなる」とした上で、「国内外には多くの移植学会や学術誌がある。それらはすべて同様の方針を採用する必要がある」と述べ、協力を呼びかけた。