オーストラリア陸軍と防衛産業が共同でロボット工学を戦力増強に活用

2022/10/20
更新: 2022/10/20

オーストラリア陸軍は、軍事力の有効性を最大限に高めるために、人間と機械のチーム編成(HMT)を重視した新しいロボット工学自動化戦略を採用した。 陸軍は、防衛産業と協力して、自己学習機械や人工知能AI)対応システムとともに、無人航空機や陸上車両などの自律型資産をより多く採用することで、状況認識、殺傷力、任務生存性の向上を目指している。

オーストラリア国防省の報道官はFORUMに対して、「戦争の進化にともない、戦場でのロボット・自律型システム(RAS)などの技術の使用が増加している」とした上で、 「陸軍は、オーストラリアの防衛産業、学界、その他のセクターと協力して、新技術や新興技術を探求・実装している」と述べた。 

国防省が8月に発表した「RAS戦略 2.0」によると、人間と機械のチーム編成は人間の知性とロボット工学と自動化を組み合わせた能力増強につながり、大規模な増員を行うことなく作戦上の優位性を実現できる。「ロボット・自律型システムは、持続的な任務と戦場での迅速な標的作戦を可能にしながら、火力、防御力、機動性を直接的に向上させることができる」とこの戦略は述べている。

ロボット・自律型システムの目的として、危険な状況で無人システムを使用して人員を危険にさらすリスクを減らすこと、兵士の物理的および認知的なパフォーマンスを最大化すること、物流やメンテナンスなどの分野におけるプロセスを合理化すること、大量のデータの分析と配布を通じて優れた意思決定を育成すること等が挙げられる。

同システムは、ミサイル、航空機、諜報・監視・偵察(ISR)などの脅威に対する防御を強化することが期待されている。 また、諜報・監視・偵察を通じて敵対的なEWシステムを誤解させるおとりとして機能することで、電子戦(EW)能力に対抗することも可能だ。

同報道官は、「産業界との新技術の開発、製造、試験により、陸軍内での試作と運用が高速化、効率化され、主権能力の向上につながる」と述べている。

国防省のニュースリリースによると、陸軍イノベーションデーや陸軍ロボティクス展示会などの年次イベントでは、民間産業や学会がロボット・自律型システム資産の開発を紹介・促進している。 8月の展示会では、自律型弾薬ローダー、自動操縦陸上車両、無人航空機(UAV)が登場した。 一方、同月に開催されたイノベーションデーでは、陸軍が5年から10年以内に無人航空機を使用して物資の輸送や犠牲者の避難を容易にする計画を発表した。

陸軍は諜報、監視、標的の取得、偵察作戦にRQ-7B シャドー200 UAV(RQ-7B Shadow 200 UAV)を使用していると国防省は報告している。 米国製のシャドーは、戦闘チームの指揮官の状況認識を向上させるために設計された小型の無人航空機システムによって間もなく補完される予定だ。

陸軍のロボット・自律型システム実装調整室(RICO)がイノベーションを促進し、開発を加速させている。同調整室は、オーストラリアのディーキン大学のインテリジェントシステム研究・イノベーション研究所と協力して、自律型リーダー追従車両技術を開発した。 この技術は、2021年10月に自律型ドラックの車列を路上試験運転する大規模な試験に合格したと国防省は報告している。

「ロボット・自律型システムは多分野に及ぶため、迅速かつ効果的な結果を実現するためには協働が必要だ」とRAS戦略2.0は述べている。 「国内外の多くのパートナーがロボット・自律型システム、AI、ロボット工学、センシング技術を探求する中、協働によりロボット・自律型システムの全体的な機会が拡大し、累積的な労力を削減できる」という。

Indo-Pacific Defence Forum
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