新型コロナによる死亡者数の半数以上はワクチン接種者=米疾病対策センター

2022/12/09
更新: 2022/12/09

ワクチン接種者と追加接種を受けた人が、8月の新型コロナウイルスによる死亡者数の半数以上を占めていたことが、米疾病対策センター(CDC)のデータで明らかになった。

2022年8月に記録された新型コロナウイルス感染症による死亡者数6512人のうち、58.6%がワクチン接種または追加接種を受けており、ワクチン接種者の死亡者数が増加する傾向にあることを示している。

2022年1月の死亡者数のうちワクチン接種を受けていた人は41%だった。

しかし、6月と7月のCDCのデータを分析したところ、新型コロナウイルス感染症による死亡者数のうちワクチン接種を受けていた人はそれぞれ62%と61%と、過半数を上回っていた。

こうした事実を踏まえ、カイザー・ファミリー財団のシンシア・コックス副代表は11月23日付の米紙ワシントンポストで「これはもはやワクチン未接種によるパンデミックとは言えない」と述べた。

2021年9月から2022年8月までの新型コロナ死亡率データ (Courtesy of the Kaiser Family Foundation)

コックス氏は、新型コロナワクチン接種に支持を示しつつ、その要因と思われる3つの理由を挙げた。

1つは、大多数の米国人が少なくともプライマリーシリーズとしてワクチン接種を受けていること。2つ目は、新型コロナで死亡するリスクが最も高い高齢者が予防接種を受ける傾向にあることと述べた。

最後の理由としては、ワクチンの予防効果が時間とともに弱まることを挙げた。

新型コロナウイルスに対する自然免疫とワクチン接種免疫を評価する研究の主執筆者であるイェール大学のジェフリー・タウンゼント教授は、パンデミックの現段階では、ワクチン接種者と非接種者を比較するより、個人が最後にワクチン接種を受けたまたは新型コロナに感染した期間を見ることが有効だと述べた。

タウンゼント氏はエポックタイムズの取材に対して「ワクチン接種を受けた、または新型コロナに感染してからの期間から免疫のレベルを決定することで、感受性、罹患率、死亡率のほとんどの変動を説明することができる」と答えた。

現在、新型コロナに対する免疫についての長期的な研究では、ワクチン接種を受けた人でも新型コロナに感染した人でも、時間とともに免疫力が低下することが示されている。

他の研究では、ワクチン接種によって獲得した免疫は新型コロナウイルス感染による自然免疫よりも予防効果が衰える割合が高い傾向にあることがしばしば示されている。

また、メッセンジャーRNA (mRNA)ワクチンは体の自然な免疫反応を阻害する可能性があると指摘する科学者もいる。2022年6月に科学雑誌「Food and Chemical Toxicology」に掲載された論文によると、mRNAワクチンに使われている現在の技術は、「脂質シェルを使いmRNAを囲み、体内免疫システムの働きによって破壊されないように隠し、生物学的半減期を長くしてスパイクタンパク質の大量生産を促進する」可能性があるという。

 

「ワクチン未接種者によるパンデミック」説に疑問を呈する臨床医たち

循環器内科医のピーター・マッカロー博士は、エポックタイムズの取材に対し、ワクチン未接種者によりパンデミック(大流行)が引き起こされたのはワクチンがなかった2020年だけで、2021年からは新型コロナで死亡している半数以上がワクチン接種者であると語った。その理由として新型コロナによる死亡率を下げるワクチンの効果が低いことを挙げた。

2020年には、新型コロナウイルスによる死亡者数が38万5000人以上とCDCによって報告されたが、ワクチン接種が広まった2021年には、その数が46万3000人以上に上った。

2021年6月までに、米国人口の約53%が初回接種を受け、44%がワクチン接種完了者だった。しかし、2021年前半と後半では新型コロナの死亡者数にほとんど差がなく、7月から12月にかけて24万4000件以上の死亡例(年間の50%以上)が報告されている。

「こうしたデータを見ると、新型コロナウイルスによる死亡者の増加をワクチン未接種者のせいにすることはできない。また、死亡の大半がワクチン普及後に起きていることから、ワクチン未接種が死亡者数に影響を与えたという結論にはならない」とマッカロー氏は指摘した。

他国のデータでも、ワクチン接種率が全体的に上昇するにつれ、ワクチン接種者が新型コロナで入院する割合が高くなることが示されている。

早くも2022年1月には、豪州のニューサウスウェールズ州から発表されたデータで、入院患者の多くがワクチンを接種していたことが示された。また、集中治療室(ICU)に入ったワクチン未接種の割合が49.1%だったのに対し、ワクチン接種者は50.3%に上ったという。

ニューサウスウェールズ州は、豪州で入院している患者のワクチン接種状況を追跡し、公表し続けている唯一の州だった。同州は最もワクチン接種が進んでいる地域の一つで、11月24日までに16歳以上の80%以上が一回目の追加接種を受けていた。

ニューサウスウェールズ州の最新の週報データでも、新型コロナによる入院、ICU入室、死亡例の大部分をワクチン接種者が占めていることが引き続き報告されている。11月12日の報告書では、ワクチン未接種は新型コロナによる死亡例の21%を占め、入院とICU入室に関しては1%未満だったことが示された。

ただし、この報告書で報告された新型コロナによる死亡数は24件にとどまったほか、入院が440例、ICU入室は40例と、重症化の低下が示唆されていることに留意する必要がある。

また、2022年7月31日から8月6日までの1週間のカナダ・マニトバ州の死亡データでも、追加接種を受けた人が新型コロナウイルスによる死亡者数の70%を占めたのに対し、ワクチン未接種の死亡者数は10%未満にとどまっていることが明らかになった。当時、マニトバ州の43%がワクチン追加接種を受けていた。

英国からの報告も同様の結果を示している。2022年3月31日に発表された報告書(pdf)では、新型コロナによって死亡した約73%が追加接種を受けていたのに対して、ワクチン未接種者は10%にとどまった。当時、人口の57%以上が追加接種を受けており、73%が初回接種を受けていた。

 

ワクチン未接種者の死亡率は全体像を反映していない

マッカロー氏は、オミクロン株によって全体的な重症化率が低下したため、新型コロナの死亡率について正確な理解が得られない可能性があると付け加えた。

「CDCの死亡データは慎重に判断する必要がある。新型コロナで死亡したとは断言していないからだ。新型コロナで死亡した可能性もある」

CDCのウェブサイトでは現在、新型コロナウイルス感染症を原死因とした死亡例は10%にとどまっている。従って、関連死なども死亡例としてカウントされている場合がある。

マッカロー氏は、心臓発作で入院した患者が、6カ月前感染した新型コロナにより検査で陽性になったケースを例にとって説明した。

このことは、死亡例の一部は、「ワクチン接種か未接種かは、相対的に無関係である」ことを示唆している可能性があると、マッカロー氏は指摘する。

同氏によれば、新型コロナや呼吸器疾患の判定を行わずに新型コロナによる入院となった人たちの研究調査も、新型コロナの有病率や重要性を直接反映していない可能性があるという。

「患者は感染後何カ月も断続的に新型コロナ陽性となることがある。つまり、患者が足首の捻挫や関係のない問題で来院した場合でも(陽性となれば)新型コロナ入院としてカウントされることがあるのだ」

またマッカロー氏は、ワクチン接種者と非接種者の間の疾病結果に関する病院での研究では、米国のワクチン投与記録と同期していないワクチンデータを収集していることが多いと警告した。

「病院の電子カルテは、患者がワクチン接種済みであることを主張しない限り、その患者はワクチン未接種であると仮定する。ICUに入って人工呼吸器をつけている多くの患者はワクチンカードを出すことができない」

CDCのMMWR(Morbidity and Mortality Weekly Report:罹患率と死亡率の週報)の報告では、ワクチン接種を受けたものの、最初の感染より前の14日以内に二度の接種を受けた人は、ワクチン未接種者とされている。また別の報告書では、ワクチンレジストリと一致しない人もワクチン未接種者としてカウントされている。

ニューヨークを拠点とするエポックタイムズ記者。主に新型コロナウイルス感染症や医療・健康に関する記事を担当している。メルボルン大学で生物医学の学士号を取得。