オーストラリア、防衛戦略見直し 長距離精密攻撃を優先へ

2023/04/24
更新: 2023/04/24

[キャンベラ 24日 ロイター] – オーストラリア政府は24日、第2次世界大戦後最大の防衛戦略見直しを提言した報告書の概要を公表し、長距離精密攻撃、誘導兵器の国内生産、外交を優先する方針を示した。

報告書は、米国はもはや「インド太平洋の単極のリーダー」ではないと指摘。米中の激しい競争がインド太平洋地域を規定しており、大国の競争には「紛争の潜在性」があると分析した。

敵国の抑止と通商ルート・通信の保護では豪州北部の基地が焦点になるとも主張。中国は第2次大戦後最大の増強を進めているが、その意図ははっきりせず、豪州の近隣で戦略的な競争に参加していると述べた。

アルバニージー首相は記者団に対し、今回の見直しは「第2次世界大戦以降で最も重要な作業」だとし、「国家安全保障に対する挑戦が常に進化している世界を表している」と語った。

報告書は「国家としてわれわれが直面する最も高いレベルの戦略的リスク――地域の大規模紛争の可能性――を回避すべきだ」とし「ミサイルの時代」には侵略の必要なしに豪州に軍事的脅威を与えることができると指摘した。

米国との協力を強化する方針も表明。二国間の軍事計画を拡大し、潜水艦を含め、豪州で米軍の交代を増やす方針を示した。

日本・インド・太平洋・東南アジア諸国との防衛協力の強化も必要としている。

豪州の国防予算は今後10年で増加する見込み。

マールズ国防相は見直しの結果、国防力が「目的にかなわない」ことが分かったと説明。「紛争で得る利益がリスクを上回ると潜在的な侵略者が判断できないように、計算式を変えることを目指す」と述べた。

見直しでは、米英豪による安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」での原子力潜水艦配備が豪州の抑止力にとって優先事項であることが確認された。

また、北部の基地と港を直ちに改良し、燃料貯蔵の問題を是正しなければならないと指摘。政府は、北部と中部にある民間鉱物・石油産業インフラの利用を検討するとした。

このほか、サイバーおよび宇宙空間の防衛能力開発も求めた。

防衛能力の再構築に向けた今後2年間の優先事項として既存プラットフォームへの長距離兵器搭載などを挙げた。

Reuters
関連特集: オセアニア