どうして製薬会社を訴えられないのか、「ワクチン・ビジネス」の仕組みに迫る(上)

2023/07/05
更新: 2023/07/06

今年2月、EPOCH TVのインタビュー番組「米国思想リーダー」に、弁護士のアーロン・シリ氏が出演した。(日本語版の公開は3/24)

同氏は、ワクチン接種で傷害を負った人々や、ワクチンの情報公開を求める団体の代理人として、衛生当局を相手に訴訟を起こしている。

シリ氏によると、ワクチンには前例のない免責が与えられており、「これほどの法的保護を受けている製品は他にはない」という。

メーカーに責任問題が問われるからこそ、製品の安全性は保証される。はたして、損害賠償責任を負わないワクチンメーカーの製品は本当に安全なのか。

以下、番組内のインタビュー全文を掲載する。

ヤン・エキレック:
アーロン・シリさん、当番組にご出演いただき、有難うございます。あなたは、身体に異物を入れる事への「義務付け」に強く反対していますね。幾つもの訴訟を引き受け、最近では、新型コロナの遺伝子ワクチンをめぐる裁判を起こしました。あなたの法律事務所は、この問題に注力しているようですが、その理由を教えて下さい。

アーロン・シリ:
最初に言っておきますが、私は医薬品を服用したり、摂取したりする事に、強く反対しているわけではありません。個人が望むなら、何度でも医薬品を摂取する権利があるし、私はそれを支持しています。唯一、私が反対しているのは、威嚇や罰則などの方法で、嫌がる人にそれを強制する事です。

なぜならば、個人が強制されずに医療を選択する事は、人々が持つべき基本的人権だからです。

私は長年、商業訴訟専門の弁護士でした。ある時、長年勤めた事務所の同僚が、司法省に転職したと連絡してきました。私は当時、ゴールドマン・サックスなどを担当する、全米最大級の法律事務所を辞めたばかりでした。彼は私に連絡してきて、「インフルエンザの予防接種で重篤な傷害を負った看護士の案件があるが、もう弁護できない」と言ってきました。彼は司法省にいるので、ワクチン傷害の案件を担当できないと言うのです。利益相反になるからです。ワクチン障害の訴訟において、司法省はワクチンを弁護するからです。

ワクチンで傷害を負っても、製造業者を訴えることはできません。訴訟の相手は連邦政府、つまり保健福祉省長官です。連邦請求裁判所に属する「ワクチン傷害補償制度」を訴えるのです。私は、ワクチンの案件に関わった事もあるので、彼から紹介された案件も、快く引き受けました。インフルエンザ予防接種の案件では、賠償金を勝ち取りました。他にもワクチン関連の案件を幾つも引き受けながら、様々な事を学びました。

製造業者は免責されている

ヤン・エキレック:
あなたの訴訟の相手は保健福祉省の長官です。この現実を、どれだけの人が知っているでしょうか。

アーロン・シリ:
私がワクチン、つまりこの製品について最初に学んだのがこの現実です。法律事務所で働いていた時に、1986年に制定された「全米小児傷害法」という法律があるのを知りました。これを初めて読んだ時、驚愕したのを覚えています。興味のある人は、42 U.S.C. 300aa-11で検索して下さい。そのセクションの第3パラグラフに書かれていますが、ワクチンによる傷害や死亡に関して、製造業者と管理者は免責されています。

これには驚きました。銃の製造業者もある程度免責されていますが、銃が危険だということは皆知っています。原子力発電所も、米議会によって免責を与えられましたが、メルトダウンの危険性がある事は、周知の事実です。

しかし、ワクチンは、「安全だ」と常に聞かされてきました。もし安全ならば、なぜ製造業者は傷害を負った人がいても免責されるのでしょうか。もしそれが安全だというなら、衛生当局も安全であると予測するはずですから、傷害を負う人はいないはずですよね。あるいは、彼らが言うように、被害は100万人に1人の割合なのでしょうか。

ヤン・エキレック:
その時に、初めてそれを知ったのですね。

アーロン・シリ:
ええ。それまでは皆さんと同じ認識でした。例えば、私が水や健康的な食事、睡眠に気を付けるのは、身体にいいと理解しているからです。衛生当局が推奨している事は、水や食事や睡眠と同様に、身体にいいものと理解していたのです。ワクチンもその一つでした。少し掘り下げて調査すればすぐに分かることですが、目から鱗が落ちる思いでした。そして、なぜこのような免責が与えられたのか、という疑問を抱いたわけです。

2011年のWyeth対Bruesewitz事件の連邦最高裁判決も、この問題に触れています。1986年まで、ワクチン製造業者の法的責任は非常に大きかったため、議会が介入して免責を与えるべきだと述べています。当時は、小児の定期予防接種は3種類でしたが、それぞれ1社しか残っていませんでした。訴訟を起こされた時の賠償金がビジネスにおける利益を上回ったため、メーカーはワクチン製造から撤退する可能性があったのです。

しかし、これが米国です。もし、ある製品の出来が悪ければ、ここ米国では、良くも悪くも、それを測る方法があります。お金です。利益を上げたければ、より良い製品を、より安全な製品を、作らなければなりません。もし議会が介入せず、市場原理に任せていたら、ワクチン製造会社は倒産していたでしょうか?彼らは、お金を稼ぐために、恐らくより良い製品を、より安全な製品を作るために、改良を重ねたことでしょう。

しかし議会は知恵を絞って、彼らを守りました。害をもたらすワクチンの製造会社が、廃業寸前なのに、ワクチンを売り続ける方法を考えました。損害賠償に対する免責を製造会社に与えたのです。ワクチンメーカーは、当時の3種類の定期接種のみならず、将来の小児用定期接種ワクチンについても、責任が免除されることになったのです。

彼らに免責を与えた事が、現在の、このワクチンをめぐる一連の出来事の発端だと思っています。ワクチンに対する人々の認識や、ワクチンメーカーの暴走、衛生当局によるメーカーの扱いなどです。私が知る限り、これほど保護されている製品は他にありません。

身の周りの、あらゆる日用品を見て下さい。それらが安全なのは、メーカーに賠償責任があるからです。自動車が安全なのは、規制当局のお蔭ではありません。ある程度はそうかもしれませんが、本音では、訴えられたくないからです。何十億ドルもの損害賠償を支払いたくないからです。日常生活で使っている、ほぼすべての製品を見て下さい。米国では、設計上の欠陥や、安全に対する警告を怠ったという理由で、メーカーは訴えられる可能性があります。

しかし、ワクチンについては、製薬会社を訴える事ができません。その結果、40年以上にわたって、製薬会社はこれらの製品をめぐる“ストーリー”を完全にコントロールしてきました。彼らは上手くやりましたよ。自社製品をよく見せることに成功したのですから。

不透明な規制当局

ヤン・エキレック:
あなたは多くの案件に関わっていますが、そのうちの二つが特に注目されています。1つはファイザーの臨床試験データ訴訟で、もう1つは、V-safeデータ訴訟です。これは、ロン・ジョンソン上院議員が12月に開催した公聴会で話題になりました。まずはV-safeの概要について教えてください。なぜV-safeのデータを調査する事にしたのですか?

アーロン・シリ:
私の事務所が引き受けたワクチン政策の案件は、多数のワクチン傷害とワクチン免除の両方です。主な仕事はワクチン政策に関するもので、そのほとんどは、非営利団体「インフォームド・コンセント・アクション・ネットワーク(ICAN)」からの依頼です。デル・ビッグツリーという人が立ち上げた組織です。

ICANから、V-safeデータベースのデータを入手するよう依頼がありました。V-safeとは、疾病予防管理センター(CDC)によると、新型コロナワクチンに特化した、最高の安全性システムです。このワクチンのために、特別に開発されました。何十年もの間、CDCはVAERS(ワクチン有害事象報告システム)を、最高の安全性データベースと謳ってきました。つまりシグナルを検出するシステムです。もしワクチンに問題があれば、VARESで検出し、他のデータベースで評価するという仕組みです。

ところが突然、2020年12月、コロナワクチンの接種が始まろうとした頃、CDCと食品医薬品局(FDA)は、VAERSについての方針を変えました。VAERSに多くの報告が寄せられたので、彼らは急に態度を変えたのです。彼らは、VAERSには問題があるから、V-safeという新しいシステムを使うと言い出しました。CDCによると、もしコロナワクチンに問題があれば、V-safeが「迅速に」検出し、対処できるというのです。

V-safeのページには、チェック欄と自由記述欄があります。チェック欄には2種類あります。1つ目には、接種してから1週間ほどに感じた、18種くらいの症状が並んでいます。それらの症状があるか、程度は軽いか、重いかなどをチェックできます。

しかし、それらの症状はCDCが「正常」と主張しているものばかりです。実際、彼らはそれらの症状を「反応原性」と呼んでおり、「良いこと」としています。それらはワクチンが効いている証拠であり、免疫反応が起きていることを示すものだというのです。重篤なのはよくないが、ある程度の症状はあるべきだと言っています。つまり、いくらその報告が多くても、重要視されないのです。ですから、そのデータは基本的に無用です。

次に、V-safeのチェック欄には2つ目のカテゴリーがあります。そこにはユーザーがチェックできる3つの選択肢があります。1つ目は、「医師の診療が必要だったか」です。そこにチェックをつけると、続いて「入院」「緊急治療」「救急搬送」「遠隔治療」のいずれかにチェックできます。2つ目は、学校や仕事を休んだか。3つ目の選択肢は「日常生活が送れなくなったか」です。

CDCは、V-safeはコロナワクチンの安全性を確保するための、迅速な検出システムだと言っています。ですから、その3つの選択肢でワクチンの安全性を評価できるというわけです。それ以外にはないはずですね。そこで、私のクライアントである非営利団体ICANは、ワクチン接種後に医師の診療を必要とした人の割合を知りたいと考えました。

おそらく、V-safeがユーザーに対して体系的に尋ねる指標は、基本的にこれだけでしょう。医療処置を必要とした人数を、V-safeユーザーの総数で割れば、割合が計算できるはずですね。

ですから、私たちはCDCに、「そのデータを提供できますか?」と尋ねました。答えはノーでした。衛生当局は透明性を謳っていますが、我々は連邦裁判所に訴えるしかありませんでした。最初の訴訟で、彼らは異議を唱えました。興味深いですよね。2回目の訴訟では、彼らの異議に対処し、我々が勝訴しました。V-safeのチェック欄のデータを入手するのに、1年半もかかったのです。

その全データを入手した時、なぜ彼らがその公開を拒否したのかが分かりました。なぜなら、1000万人強のV-safeユーザーのうち、7.7%がワクチン接種後に医療処置を求めたと報告しているからです。この1000万人のユーザーは、VAERSのユーザーとは違います。V-safeのユーザーは、CDCの呼びかけに応じて、予防接種を受けた時点でアンケートに参加した人たちです。2020年12月、つまり接種が始まった最初の数カ月間に登録した人たちです。

登録者たちは、ワクチン接種に非常に熱心な、積極的な人たちです。当時は接種義務もないのに我先にと接種した人たちです。彼らの7.7%が医療処置を求めたと報告しているのですから、おそらく全接種人口に対する割合を反映しているでしょう。そこから数字を推定できます。むしろ、過少報告になる可能性もあります。登録者はワクチンに熱心な人が多かったわけですから。

その他、25%は学校や仕事に行けず、日常生活が送れなかったと回答しています。つまり32%の人に何らかの問題があったのです。ただ、医薬品を摂取した結果、救急搬送される話は珍しくもありません。医薬品のリコールはよくある事です。

心配なのはCDCの透明性です。私たちがデータを入手するためにCDCと争っている間、CDCは1年半にわたってこのデータを隠していました。彼らはV-safeのデータを根拠として、10本以上の研究を発表し、ワクチンの安全性を一般市民に啓蒙しました。CDCの研究は、どのデータを使ったと思いますか?

彼らが研究に用いたのは、接種後1週間に医療処置を求めた人のデータだけでした。その割合は0.5%くらいです。そもそも、接種後に200人に1人の割合で医療処置が求められたというのになぜ安心と言えるのかが私には理解できません。V-safeのあるサブセットを年齢別、接種別で見ると、最初の1週間で3%にもなり、これは深刻な懸念事項です。たとえ0.5%であっても大きな問題と言えるはずです。

ワクチン傷害は、接種後1週間にだけ発生するわけではありません。彼らはそれを知りながら、1週間の結果のみを公表しているのです。私の事務所は、「ワクチン被害補償制度」の案件も扱っています。ワクチンの免疫反応は、しばしば最低でも1週間かかることはよく知られています。問題を引き起こす自己抗体の生成には、時間がかかるのです

最初の1週間だけでは、安全性を評価できません。彼らもそれを知っています。彼らは1年半にわたる完全なデータセットを持っています。それなのに、最初の1週間だけ見て安全だと主張しました。最初の6週間を調べれば、その数字は遥かに大きいのです。彼らはそれを知りながら、公表しなかったのです。私たちはそのデータを要求し、何度も何度も訴えて、やっと入手できたのです。これは非常に問題です。

当局はワクチンの副作用に気づいていた

ヤン・エキレック:
もう一つ問題がありますね。私たちが情報公開法に基づいて入手した情報によると、このワクチンには非常に特異な副作用があることを、彼らは初めから知っていました。V-safeのドロップダウンメニューにそれらを含めることもできたのではないでしょうか。

アーロン・シリ:
そうです。私たちは、非営利団体ICANの代理人としてCDCに対する訴訟を起こしていますが、V-safeの全データだけでなく、V-safeを巡るすべての文書と通信文を要求しています。その中には、CDCが発行したV-safeのデザインに必要なプロトコルも含まれます。更には、プロトコルの反復過程も含まれます。

プロトコルのバージョン1は、2020年12月以前のものです。サイトを公開する前には、設計書であるプロトコルが当然必要ですよね。V-safeが始動する数ヶ月前に作成されたプロトコル文書の最後のページに「事前に指定された症状」という項目があり、「特に関心のある有害事象」と書かれています。

そこには15種類の症状があり、ワクチン接種を受けた人たちが訴えている症状も多く含まれています。心筋炎、心膜炎、横断性脊髄炎などがあります。

CDCは、V-safeが始動する前から、ワクチン接種がこれらの症状を引き起こす可能性がある事を知っていたのです。つまり、V-safeのチェック欄に、これらの症状を入れることもできたわけです。もし、V-safeにその機能をいれていれば、ユーザーのうちの何人にその症状があったのかがすぐに分かります。

例えば、V-safeユーザー1000万人のうち、50万人が心筋炎を報告したとします。50万人を1000万人で割ると5%です。アッという間に割合が出ます。これで本当の意味での安全性が確保できるでしょう。CDCが言っている「安全性を迅速に検出する」というのは、こういう仕組みのことだったはずです。

刑事事件においては、「故意だったか」を証明しなければなりません。つまり事前に、自分の行為が過ちだと、十分に理解していたかどうかを、証明しなければなりません。

いいですか。CDCは、心筋炎を含む、現在私たちが目にしている多くの問題を前から認識していたし、「特別に関心のある有害事象」に挙げていました。しかし、彼らがあえてこれらの有害事象をチェック欄に入れなかったので、心筋炎などを報告したい人々は、V-safe内の自由記述欄に記入するはめになりました。

人々が自分の症状を説明するときに、誰もが同じように記入することはありません。「胸が痛む」とするかもしれないし、「心臓発作が起きた」「心臓に問題がある」「腕が痛い」「脇腹がしびれる」「腕がしびれる」など様々でしょう。心血管の問題を記述するには、何百通りもあります。自由記述欄から症状を特定し、その割合を出すのは非常に困難です。

更に、CDCは自由記述欄の内容を公開するつもりはありません。私たちが訴訟を起こして公開を要求しても、彼らは拒否しているのです。彼らは「自由記述欄のデータを開示しない」という立場をとっています。CDCの態度は単なる怠慢でしょうか。それとも、彼らにワクチンの害を隠す意図があったのでしょうか。

私にとっては、これが最高の証拠の一つです。彼らは、ワクチンが害をもたらす事を知りながら、V-saveを設計したのではないでしょうか。ワクチンの害が発覚しても、彼らはそのデータを隠蔽できるように設計したのです。少なくとも、彼らはデータが公表されない事を願っています。訴訟は当分終わりませんよ。

エポックタイムズのシニアエディター。EPOCH TVの番組「米国思想リーダー」のパーソナリティーを務める。アカデミア、メディア、国際人権活動など幅広いキャリアを持つ。2009年にエポックタイムズに入社してからは、ウェブサイトの編集長をはじめ、さまざまな役職を歴任。ホロコーストサヴァイバーを追ったドキュメンタリー作品『Finding Manny』 では、プロデューサーとしての受賞歴もある。
大紀元報道記者。東京を拠点に活動。