中国で新宗教活動法が施行へ 人権弁護士「違憲だ」

2023/08/30
更新: 2023/08/30

中国当局は宗教に対する規制をさらに強化している。国家宗教事務局が新たに公開した「宗教活動場所の管理弁法」は、9月1日から施行される予定だ。

専門家は、この「弁法」は、すべての宗教信仰を滅亡させ、中国共産党(中共)だけを信仰させることを目的としていると述べた。

「弁法」では、「中国共産党の指導を擁護する」といった内容が三回言及されている。

目的は宗教を滅亡させること

米国在住の宗教問題専門家、元キリスト教の牧師である郭宝勝氏はエポックタイムズに応じ、「この『弁法』の目的は、宗教活動の場所と空間をなくすことだ。そうすれば宗教はすぐに消滅するだろう」と語った。

「弁法」第71条には、「勝手に宗教活動の場所を設立した場合、宗教事務部門と関連部門が『宗教事務条例』や関連法律、法規の規定に沿って処罰する」とされている。

郭氏は、「中共はカトリック地下教会や家庭教会を全て取り締まりたいのだ」

「文化大革命の時のように、全ての宗教を滅亡させようとしている」と指摘した。

人権弁護士、米国カトリック大学人権センターの特別客員研究員・陳光誠氏は、「宗教活動場所の管理弁法」および「中国共産党の指導を擁護する」などの規定は中国の「憲法」に違反していると述べた。

陳建剛氏「共産党はカルト

渡米した元中国人権弁護士の陳建剛氏によると、中共はこれらの事を早くから進めてきた。

中共は、中国人の信仰の自由を奪うことを目的にしている。さらに、中国人を中共を信仰するように強制し、人々に中共を神として崇拝させようとしている」と同氏は述べた。

「その究極の目的は、他の神々を信じず、(中国)共産党だけを信じさせることだ。その意味で共産党こそが真のカルトなのだ」と同氏は語った。

人権弁護士は「違憲だ」

「弁法」第五十八条第(六)項に、「違法な宗教活動やカルトの活動を抑制し、過激な宗教思想を食い止め、外国勢力が宗教を利用して国内に浸透するのを阻止する」と明記されている。

陳光誠氏は「これは中共が国家、政府を凌駕し、憲法に優越していることの具現化だ」と語り、「弁法」を悪法と呼んだ。

中国の憲法によると、以下のように記されている。

「いかなる組織又は個人も、この憲法及び法律に優越した特権を持つことはできない(「中華人民共和国憲法」第5条)」

また「中華人民共和国憲法」第36条には「中華人民共和国公民は、宗教信仰の自由を有する。いかなる国家機関、社会団体又は個人も、公民に宗教の信仰又は不信仰を強制してはならず、宗教を信仰する公民と宗教を信仰しない公民とを差別してはならない」と記されている。

陳光誠氏は「しかし、憲法(1982年)の前文に、『四つの基本原則を堅持する』とも書いてある。四つの原則の中で最も重要なのは、中国共産党の指導を堅持すること。この言葉自体が違憲だ」と語った。

四つの基本原則とは、「社会主義の道」「人民民主主義独裁」「共産党の指導」「マルクス ・レーニン主義 と毛沢東思想」の堅持を指す。

李辰
関連特集: 中国政治