中国崩壊の予兆 逃げ出す中国富裕層、日本不動産に注目 

2023/11/09
更新: 2023/11/08

何が起きているのか知りたければ、金の流れを追え。このキャッチフレーズは、中国から撤退する外国企業や投資家だけに当てはまるものではない。中国経済にも当てはまる。

不信任決議

経済的困窮が広がり、社会的混乱が拡大する中、資金の流れを追うと、中国の投資家がいかに国内の投資から手を引いているかがわかる。個人消費は減少し、貯蓄率が上昇している。中国の投資家らはあらゆる手段を使って、資金を海外に持ち出しており、そのすべてが習近平国家主席と中国共産党(中共)に対する明確な不信任投票となっている。

事実を隠そうとする中共

失敗した政策の責任を、それを指摘する人々に押し付ける。これが中共の常套手段だ。例えば、崩壊しつつある経済について言及する者は、金融の安定を脅かした罪に問われる。さらに中共は、失業率や地方政府を悩ませる高水準の債務について正確に報道したジャーナリストやエコノミストを訴追する可能性もある。しかし、深刻化する中国の経済は広範囲に及んでおり、もはや隠すことはできない。

もちろん、金融の安定は人々が語ることで脅かされるわけではない。経済を破壊しているのは中共なのだ。最近の例をみても、党が経済に関与するほど、経済が困窮していることがわかる。

不動産市場と開発部門はその好事例だ。中共によって大きく操作され続けている、恒大集団碧桂園といったフラッグシップ企業の財政破綻が経済全体の状況悪化に拍車をかけている。売れ残った完成済みプロジェクトは取り壊され、既存のプロジェクトは中止され、その他の開発計画も白紙に戻されている。不動産大手に残ったのは、巨額債務だけだ。

単なる景気後退ではない

何が起きているのか、その真実が中国人に明らかになりつつある。多くの人々は、現在の状況が資本主義経済に典型的に現れる周期的不況をはるかに超えるものであると認識している。

中国国家統計局の発表によれば、2023年第2四半期の成長率は前期比で0.8%増だった。しかし、接待と政治的便宜で運営され、日常的に数字をごまかしているこの国では、この統計はほとんど信用できない。報告された第3四半期に至っては、前年比4.9%増加としているが、不動産市場の崩壊、個人消費の落ち込み、輸出の低下を考えると、到底信じられるものではない。

今後、中共のコントロールが強化されるにつれ、現在の経済停滞が「最良のシナリオ」になる可能性がある。外資系企業が中国から撤退していくなか、不動産開発、関連産業、製造業の雇用はすべて苦境に立たされている。

停滞する中間層

一方、中産階級の個人投資家の投じた資金は、不動産評価が急落したことで、水の泡となっている。中国の不動産は未建設もあれば、建設が中断したものも少なくない。

この停滞の原因は、内政と外政にある。内政面に至っては、市場シグナルに基づく経済ではない。汚職や腐敗に基づく経済では維持できない。したがって、収益性の高い民間企業を借金まみれの国有企業に変えるのだが、実質的には中共による没収を意味し、これが中国の経済エンジンである起業家精神を崩壊させた。

さらに、中共は政策焦点を経済成長から国内の「安全と安定」へと根本的にシフトしている。中共の支配が強まれば強まるほど、経済活動は低下し、財政が逼迫し、市民の不満が高まるという悪循環だ。そして、党はさらに国家統制を強め、弾圧を強化する。

要するに、党は経済成長や、中産階級の支援よりも、権力維持を何よりも重視しているのだ。

「投資できない」中国から逃げ出す企業

中国の経済停滞には外部要因もある。

この1年、欧米メーカーの中国撤退が加速している。米国や欧州の企業は、壁に書かれた文字を注視している。彼らは、中国の貿易政策や外交政策に対する世界の不信感が増加し、近い将来、多くの企業の中国「デカップリング」が加速すると予測している。その結果、中国から友好的な国へと事業拠点を移す動きが活発化している。

事態を悪化させる「フレンド・ショアリング

近年、友好国にサプライチェーン(供給網)を移す「フレンド・ショアリング」の傾向にある。要するに、ベトナム、インドネシア、インド、メキシコといった国々が、中国から撤退する企業を取り込んでいるのだ。

これらの国々は、政治的リスクが少なく、友好的な貿易政策をとり、人件費が安いため、自国の貿易利益が安定し、経済の安全保障に繋がるというメリットがある。中国の指導部に大きな変化がない限り、中国から撤退した企業が戻ってくる可能性は低い。

若者の失業率が過去最高に

若者の失業率の増加など、崩壊の兆候は他にも見られる。現在、失業率は20%と報告されているが、経済的な理由で親と同居している人も含めると、50%に近づいているという。深刻化する就職難に若年層は不満を募らせ、社会不安要因となっている。

中国不動産からの撤退競争

これらすべての要因が、一部の中国人富裕層が中国の不動産をなるべく早く売却している理由だ。彼らは、保有する中国不動産の価値がさらに下がる前に、中国から資金を移し、海外に投資しようと必死なのだ。彼らは中国バブル崩壊を予見し、脱出を望んでいる。

その多くは日本の不動産を購入している。

日本の不動産が中国人投資家を惹きつけているのは、近接性だけではない。彼らが日本で不動産を買う主な動機の一つが「永住ビザの取得」だ。日本で不動産(または収益性の高いビジネス)を所有することで、長期滞在、あるいは永住ビザを取得できる。こうして中国の投資家は、来るべき崩壊と中共の鉄の手から逃れるために、国外脱出を模索しているのだ。

「中国の奇跡」はもう来ることはないだろう。

 

この記事で述べられている見解は筆者の意見であり、必ずしもエポックタイムズの見解を反映するものではありません。

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