中国経済の泥沼化 各業界での逆転現象

2023/11/17
更新: 2023/11/17

中国経済泥沼化 各業界での逆転現象

2023年上半期における中国人民銀行のデータによれば、中国国民の預金は増加の一途を辿り、新たに11兆9千億元(約248兆2千億円)が加わった。この過剰な貯蓄は、一般市民が消費を控えていることを示している。 

消費の低下と価格下落、国際社会とは異なる動向 

世界の多くの国々が物価上昇に直面している中、中国では物価が下降していることが注目される。現在、中国共産党(中共)の経済政策の低迷に伴い、国民の所得は減少し、消費削減が一般的な傾向となっている。経済専門家たちは、減少する所得に直面し、消費を中心とする家計が支持されなくなり、「価格が安い場所での購入」というアプローチがより実用的であると考えているのだ。 

低価格を売りにするECサイト「ピンドゥオドゥオ(拼多多)」の2023年上半期の売上は、前年比63%増となった。これは、創業者黄崢氏の純資産が2022年の1450億元(約3兆円)から2023年には2100億元(約4兆3827億円)に増加したことを反映している。一方、対照的にアリババや京東の売上伸び率はそれぞれ8%と4.6%に留まっている。 

新型コロナウイルスの封鎖解除後、中国内で1年以上営業しているスターバックス店舗は、第3四半期売上が46%増加したが、平均客単価は1%減少した。ところが方や、ラッキンコーヒーの今年第2四半期の財務報告によると、総純収入は62億100万元(約1294億円)で、前年比88%の増加を記録し、継続的な価格引き下げにより、はじめてスターバックス中国を超える結果となったのだ。 

観光業界では、今年の10月の大型連休に全国の高速道路の総流量は4.87億回に達し、2019年と比較して15%増加している。これは、人々が中距離または短距離の旅行を選択したためであり、今年の「10月の大型連休」は史上最も渋滞したものとなった。また、航空券の価格が「10月の大型連休」に大幅に下落し、過去に例を見ない価格の暴落が起こった。 

中国の各業界の発展動向には、特筆すべき逆転現象が見られる。特に、不動産自動車、携帯電話業界などが例として挙げられる。  

10年ぶりにスマートフォンの出荷量が逆転減少

中国のスマートフォン市場は近年、非常に好調で、10年以上にわたり世界の出荷量でトップを走ってきた。市場シェアに目を向けると、中国のメーカーは世界の約60%を占め、年間出荷量は3億台を超えている。しかし、この傾向に変化が見られ始めている。 

中国通信院のデータによると、2022年の中国スマートフォン市場の年間出荷量は約2.86億台で、前年比13.2%の減少となり、歴史上最大の落ち込みを記録した。10年ぶりに、中国のスマートフォンの出荷量は3億台を下回ったのだ。 

2019年、国内市場の総出荷量は3.72億台であった。2023年の1~6月までの国内市場の累計出荷量は1.3億台で、減少傾向が続いている。 

2023年第3四半期の中国スマートフォン出荷量は、前年比5%減の6670万台で、2四半期連続の減少となった。その内訳を見ると、vivoは26%減、OPPOは10%減、Appleは6%減、Honorは1%減、Xiaomiは前年と変わらずである。 

Appleの最大の海外市場は中国である。今年の第4四半期、大中華地区の売上は150億8400万ドル(約2兆2700億円)であり、前年比で2%の減少を示している。新しいiPhone15の中国における販売量は、前モデルであるiPhone14を大きく下回っている。これは、消費者の疲弊とAppleが中国で直面しているビジネス上の限界、様々な抵抗圧力の増加を示唆している。新型iPhoneの発売後17日間の売上はiPhone14より4.5%減少し、これは2018年以降、iPhoneが中国で迎えた最悪のスタートの一つであった。 

収益と利益の面で見ると、中国産ブランドは世界市場の60%のシェアを持ちつつ、38%の収益と3%の利益を得ている。一方、Appleは18%のシェアで、45%の収益と85%の利益を得ている。 

出荷量の減少に伴い、スマートフォン業界全体の利益も低下する可能性がある。

中国不動産業界における市場の根本的な逆転 

統計によれば中国の二、三線都市の住宅価格は、コロナ後に約30~40%下落した。今年の10月20日、万科の董事長である郁亮氏は、中国不動産業が現在最も苦しい時期に入り、「壁にぶつかった」状態にあると述べた。業界関係者の多くは、中国不動産の黄金時代が再び訪れることはないと考えている。 

主な理由は三つである。一つ目は、中国の人口減少により、住宅需要が低下していることである。二つ目は、「中国住宅在庫研究報告」によると、2020年の中国都市部の住宅比率が1.09であり、一線、二線、三四線都市はそれぞれ0.97、1.08、1.12であるため、中国の住宅市場は全体的に需給バランスが取れてしまっていることである。三つ目は、経済の減速、高い失業率、住民の所得減少、資産の縮小、家庭の負債比率の上昇により、多くの家庭にとって、住宅が資産ではなく価値が下がるに連れて負債になったことである。 

黒竜江省鶴崗市にて70平方メートルの住宅が2万5千元(約52万円)の価格で売り出されたニュースが注目を集めた。 

中共政府は不動産市場の低迷に対応し、様々な政策を展開している。これには「金融16条」、融資の「三本の矢」、金利の引き下げ、購入制限の緩和、ローンに関わらず住宅を認識する政策、そして「古い家と新しい家の交換」が含まれる。しかし、これらの政策は価格下落を阻止することはできなかった。 

最近、中共政府は「保障性住宅の計画建設に関する指導意見」の14号文書を採択し、不動産市場を保障住宅と商品住宅の二重軌道システムへと変更した。保障住宅は、20年前の経済適用住宅に似ており、安価で実用的であるが、政府の権力の腐敗により、貧しい人々がこれらの住宅に住むことは難しい。住民の収入が増えず、政府関係者の権力が制限されない限り、不動産市場を刺激することは困難なのである。

中国の自動車製造業は厳しい経営状況に直面している

近年、中国の自動車業界は難局に直面し、努力すればするほど損失が増える状況に陥っている。中国国家統計局のデータによると、2019年7月から2023年7月の4年間、自動車製造業の売上は23%増加したが、利益はわずか0.6%の増加に留まった。 

商用車の面では、2019年の商用車の生産量と販売量はそれぞれ436万台と432.4万台であったが、2022年には318.5万台と330万台に減少し、前年比で31.9%および31.2%の減少を記録した。Windのデータによると、今年の上半期の中国の商用車販売量は197.06万台であった。 

BYD、吉利汽車、長城汽車、上海汽車集団、長安汽車、広州汽車集団の6大上場企業を合わせると、2018年以降の収益規模は30%以上増加するが、利益は37%減少している。 

自動車の販売を増やすため、各レベルの政府は補助金を増やしている。例えば、今年3月には東風シトロエンC6が湖北省政府から9万元(約187.8万円)の高額な補助金を受け、13万元(約271.3万円)で車を手に入れることができた。 

近年、中国の自動車業界の輸出量は増加しているが、詳細に分析すると、将来は必ずしも明るくないかもしれない。今年上半期の中国の自動車輸出は主にロシア向けで、欧州、米国、韓国などの自動車消費の主力市場は依然として各国の国内企業が支配している。中国の輸出上位3社のうち、奇瑞汽車だけが中国国産の独立ブランドで、上海汽車集団は海外ブランドとの合弁による生産と輸出、上海テスラは、外資企業で完成車の輸出が主である。

また、中国の新エネルギー電気自動車の輸出が強いのは、中共政府の補助金によるものだ。ロイターがアリックスパートナーズの情報として伝えたところによると、2016~22年の間に中共政府は純電動車とハイブリッド車への補助金として570億ドル(約8兆6232億円)を提供していた。 

「ニューヨーク・タイムズ」の報道によると、蔚来汽車は今年第2四半期に約605億6千元(約1兆2639億円)の損失を記録し、1台の車を販売するごとに約25万元(約522万円)の損失が出ている。2020年、蔚来の資金繰りは逼迫し、中共の国有部門が10億ドル(約1500億円)を投じ、同社の24%の株式を取得した。 

2021年7月、中国建設銀行を含む国有銀行は蔚来に16億ドル(約2420億円)の融資を実施した。巨額の資金支援、技術投資、固定資産投資にも関わらず、生産能力の利用率は低い状態である。2023年の1~4月にかけて、新興自動車メーカーの中で、理想汽車(Li Auto)の生産能力利用率は25%に留まり、蔚来は45.6%となり、50%にも達していない。 

今年の9月には、欧州連合(EU)が中国からの電気自動車輸入に対する補助金調査を開始し、その結果は中国輸出車両への反ダンピング関税の適用可否を決定する根拠となった。 

現在、中国の株式市場、債券市場、為替市場、不動産市場は低迷を続けており、投資、消費、純輸出の「三駕馬車(三つの牽引馬車)」が停止状態にある。金融危機が頻発し、政府の財政状況は急速に悪化している。若者の失業率も前例のない高水準に達しているのだ。 

淨園財経」がデータを集計し分析した結果、教育業や基本消費財(油、塩、醤油、酢など)などの他の業界の展望も暗いことが示されている。中国経済の将来は、暗雲に覆われ、さらなる下降が予想される。

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