Microsoftに抜かれたApple 中国市場で強烈な逆風 6日間で2千億ドルが消失

2024/03/11
更新: 2024/03/11

iPhoneは、中国市場で販売減少に直面している。2024年に入ってからはさらに困難な局面に立たされた。Appleの株価は連日下落を続けており、かつての「世界で最も価値のある企業の座」を明け渡している。専門家たちは、中国市場におけるAppleの苦戦はさらに深まると指摘している。

中国市場におけるiPhoneの販売減少と、最近EUから受けた反トラスト法違反による18億ユーロ(約2890億円)の罰金の影響を受け、Appleの株価は6営業日連続で下落し、3月6日の終値で168.45ドルまで落ち込んだ。6日間でAppleの市場価値は、約2千億ドル(29兆4022億円)消失した。

2024年に入って以降、Appleの株価は12%以上下落し、市場価値から3千億ドル(44兆940億円)消失した。これにより、Microsoftに市場価値で抜かれ、その差は更に開いている。

長期的な販売の低迷に対する懸念を理由に、ゴールドマン・サックスはApple株を「最優先購入リスト」から外した。

市場調査会社Counterpoint Researchの最新のデータによれば、2024年、初めの6週間で中国のスマートフォン市場が縮小し、全体の販売量が前年比で7%減少した。

その中でも、AppleのiPhoneの中国における販売ランキングは、前年の第2位から第4位へと落ち込み、前年同期比で24%減少した。上位3位は中国の国内ブランドが独占している。

報告によると、Appleは中国市場において地元ブランドからの激しい競争圧力を受けており、特にファーウェイはAppleから多くの市場シェアを奪い取っている。中国市場での販売減少は、Appleの今年の総出荷量に影響を及ぼすと見られている。

Apple、中共政府の圧力に直面

2023年6月、Appleは市場価値3兆ドル(440兆9400億円)を突破した世界初の企業となり、世界中のスマートフォン市場においてその存在感を示した。中国市場においては、OPPOやvivoといった地元のブランドを凌ぐ勢いだった。

2023年8月29日、米国商務省のジーナ・レモンド長官が北京を訪問した際、米国の技術制裁を受けていたファーウェイは突然、高性能な「Mate 60」シリーズを発表した。

この新シリーズでは「衛星通話」機能を前面に押し出し、その画質、ファッション性、折りたたみ機能を通じて、Appleの主要なユーザー層および潜在的な顧客層を引きつけた。

結果、「Mate 60」シリーズは発売後1か月で、1万台の売上を記録し、前モデルの2倍を売上げた。

Appleは2023年9月13日に新たなiPhone 15シリーズを発表したが、注目はすぐに薄れた。市場調査によれば、iPhone 15の発売期間中にもかかわらず、Appleの中国市場シェアは10%以上減少し、14.2%まで下落した。

Appleは価格を下げて市場シェアを回復しようと試みたが、それが既存の顧客からの不満を招く結果となった。

ファーウェイの携帯電話は急速に増加した。技術的な進歩とその背後には、中共政府による積極的なメディアキャンペーンと隠れた支援が存在する。

2019年に米国から制裁を受けたファーウェイは、中国共産党(中共)軍と密接な関係にある。ファーウェイの携帯電話は、中共により国産モデルとして「愛国主義」宣伝に位置づけられている。

レモンド米商務長官の訪中時、ファーウェイは大々的に復活を宣言した。中共政府が「米国のサプライチェーン封鎖を突破した」と正式に宣言した。

政治的な動機に基づき、多くの「民族主義者」顧客はファーウェイの携帯電話購入を「国産支持」の行為と見なした。

2023年9月、北京や天津の一部の機関では、従業員がiPhoneなどの外国ブランド携帯電話を職場に持ち込むことを禁止した。 

2023年12月、海外メディアの報道によると、過去1~2か月の間に少なくとも8つの省にある多くの政府機関や国有企業が、国内ブランドのスマートフォンの使用を従業員に指示した。

対象となったのは浙江省、広東省、江蘇省、安徽省、山西省、山東省、遼寧省、河北省等の省、及びそれ以外の二、三線級の都市に所在する国有企業や政府機関である。 

中共政府は、10年以上前から公務員に外国製スマートフォンの使用は奨励しなかった。しかし、今回の一斉かつ広範な措置は、ファーウェイ製品の人気が急速に高まっている時期と重なっている。

Apple 中国市場で更なる逆風

政治評論家の唐靖遠氏は3月7日に大紀元新聞のインタビューで、中共はAppleを含む外国ブランドに対して制約を課すだけでなく、国家体制でファーウェイ製品の積極的な推進に乗り出していると指摘した。

唐氏は「以前は国有企業や民間企業の福利厚生のための集団購入において、Apple製品は選択肢の一つだった。現在はファーウェイが唯一推奨されるブランドだ」と述べた。

「ファーウェイのMate 60が発表された際は、中国の三大通信事業者により、他の全てのスマートフォン撤去が指示され、ファーウェイ製品の積極的な推進が行われた。このような政策の圧力下では、Appleの中国市場での売上減少も不思議ではない」と述べている。

さらに、中国経済の急激な減速や失業率の高まりが、幅広い消費者層での消費ダウングレードを引き起こしている。収入を得ることが難しくなってから、多くの人々は手頃な価格の国産製品を選ぶようになった。これがAppleの売上減少の一因であると説明した。                                                                                                                                              

また、唐氏はAppleの中国市場における売上減少は技術的な性能の問題ではなく、中共の西側との意図的な脱却戦略が背景にあると指摘している。

長年にわたり、中共は米国製のソフトウェアやハードウェアを国産製品に置き換えた。最終的にファーウェイのスマートフォンを使ってAppleに打撃を与えた。 

唐氏は、ファーウェイを支援する国家ぐるみの戦略は、外国企業を迅速に圧倒する手段として機能している。もしファーウェイが米国の技術制裁を受けていなければ、Appleはさらに大きな打撃を受けていたと指摘している。

また中国が政治的に左傾化する中、Apple「脱却」の姿勢が継続されると、中国市場で直面する困難は今後さらに深刻化すると唐靖遠氏は述べている。

何嘉幸
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