中国の愛国ブランド「ファーウェイ」 「はるかにリードする」口封じ=中国

2024/05/02
更新: 2024/05/02

このほど、搭乗者3人が全員死亡した先月起きたファーウェイEV車の欠陥疑惑を提起した遺族が「口封じ」され、同事故に疑問を呈した中国メディア「21世紀経済報道」による記事までも封殺に遭っていることがわかった。

追突事故後「ドアが開かず」 搭乗者全員死亡

先月26日、中国山西省の高速道路でファーウェイが打ち出す電気自動車(EV)ブランド「問界(AITO)」の多目的スポーツ車(SUV)「M7」が作業中の散水車に追突する事故が起きた。

事故直後、「M7」は爆発し炎上した。

ネット上には事故直後の様子を映した動画が出回っており、当時、通行人たちは事故車両の窓ガラスを割って中にいた人を救い出そうとしたが間に合わず、2歳の幼児を含む搭乗者3人全員死亡した。

 

事故の後、夫と2歳になったばかりの息子、弟を同時に失った遺族の女性は「事故を起こした車両は、3か月前に20数万元(約420万円)以上で購入したばかりの最新型モデルM7 Maxだった」と明かした。

「事故当時、車のドアがロックされたまま開かず、エアバッグも作動しなかった」と女性は車の欠陥疑惑を提起した。

「なぜ衝突被害軽減ブレーキ(AEB)が作動しなかったのか」「なぜ車載電池が発火したのか」ーー。

遺族が呈したM7の品質問題をめぐり、ネット上で関心を集めた。

しかし、事故から3日経った(4月29日)の深夜、ネット上で声高にファーウェイを責め立てていた同女性は突然、「口をつぐんだ」。

彼女は複数の中国SNSで「皆さん、これまで心配してくれてありがとう。関連部門から連絡があった。ネット上に流れているデマに騙されないでほしい、この件についてはもうこれ以上、私と私の家族に構わないでください」と声明を残した後、自身がこれまでに投稿した事故に疑問を呈した動画を全て削除したのだ。

遺族の不可解な言動をめぐり、「遺族は中国共産党当局からの何らかの強い圧力を受け、口封じされ、妥協せざるを得なかったのではないか」と推測する人も少なくない。

 

「はるかにリードする」口封じ 

「遙遙領先(後続者よりはるかにリードする)」はネット上で「ファーウェイ」に対する呼び方(時には皮肉を込めて)の1つになっている。

この言葉はファーウェイの創業者・任正非氏がインタビューを受ける際の発言「ファーウェイは5Gにおいて他の国をはるかにリードしている」からきている。

しかし、先月の事故以来、いまでは「口封じにおいて」、ファーウェイは「はるかにリードする」とネット上でやゆされるようになった。

時事評論家の王亜軍氏は4月30日、自身のYouTubeチャンネルで「ファーウェイの『口封じ』は確かに同業者をはるかにリードしている」と皮肉った。

いっぽう、遺族が提起した車の疑念に対しては、メーカー側は「エアバッグは正常に展開し、車載電池パックの性能も異常はなかった」などと主張している。

 

愛国ブランド」への質疑は許されない

先月もファーウェイEVによる事故を捉えた動画をシェアしたネットユーザーのSNSアカウントが削除される「事件」が起きたばかりだった。

ファーウェイは中国当局がコントロールする、公認の「愛国ハイテク企業」である。スマホから車、ファーウェイブランドであればどんな製品も「愛国」のレッテルが貼られ、質疑は許されない。

相次いで指摘されるファーウェイ製品の品質問題や「口封じ」の教訓として、「今後EVを買うならやはりテスラを買うべきだ。何か問題が起きれば、国を挙げて大々的に報じてくれる。しかし、国産メーカーだとSNSに投稿することすらできず、泣き寝入りするしかない」という声も上がっている。

 

関連記事

ファーウェイEVの事故 動画転載したユーザーのアカウント削除される=中国(こちらをクリック

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
関連特集: 中国