【ニュースレターが届かない場合】無料会員の方でニュースレターが届いていないというケースが一部で発生しております。
届いていない方は、ニュースレター配信の再登録を致しますので、お手数ですがこちらのリンクからご連絡ください。

習近平が中国青年層に農村行きを促す 中共は手詰まりか?

2025/05/07
更新: 2025/05/07

中国共産党(中共)はかつて「上山下郷」運動を展開し、数千万人の都市の若者を農村に送り、一世代にわたる悲劇を生み出した。

現在、中国の失業問題は深刻であり、中共の党首・習近平は古い手法を繰り返し、若者たちを農村に行かせるよう扇動している。

5月4日は中国の「青年節」であり、その日、中共の党メディアは、習近平が最近新疆の少数民族小学校の若い教育支援ボランティア教師に宛てた手紙の中で、中国ではここ数年、ますます多くの若者が西部や農村、基層に赴いて奉仕することを選び、いわゆる「新時代の中国青年の責任感」を示していると報じた。

習近平は手紙の中で、中国の広範な青年が最も必要とされる場所で活躍し、「中国式現代化」の実現に青春の力を捧げることを望んでいると主張した。

独立系時事評論家・蔡慎坤氏はこう語った。
「今の時期に、あなたは読書人や若者たちを田舎に行かせようとしているが、田舎で何をするのか? 死にに行くのか? まず、農民自身が耕す土地がなく、農民も耕作していないのだ。果たして、農村に行って何ができるというのか?」

カナダの華人作家・盛雪氏は次のように述べている。
「このような政策は、習近平には本当に他に打つ手がないのだと思う。だからこそ、時代遅れで効果のない政策を推し進めるしかないのだ。当時の『上山下郷』は、何千万人もの人生に悲劇をもたらし、その後遺症は長年にわたって続いた。今日、習近平が再びこれを推進しようとしても、民衆の間で積極的な反響があるとは思えない」

数日前、中共のメディアは、いわゆる「青年運動」や「党による青年事業」について大々的に取り上げ、青年を団結させ、動員することを鼓舞した。

蔡慎坤氏は「毛沢東が推進した上山下郷運動は、すぐに行き詰まった。習近平が若者を下郷させようとすれば、それもまた同様に行き詰まるだろう。過去十数年、彼が手掛けたほとんどの事業が行き詰まっていることから、良い結果は期待できない」と述べた。

現在、米中間の関税戦争が激化し、アメリカは中国からの輸入品に最大245%の関税を課している。この影響が中国経済や雇用に次々と現れている。

複数の中国本土メディアによると、長江デルタや珠江デルタ地域では、アメリカ向けの輸出を行う輸出業者や製造業者のほとんどがすでに操業を停止しているとのことだ。

蔡慎坤氏は次のように述べている。
「習近平が歴史を逆行させず、国際社会と対立せず、毛沢東の路線を歩んでいなければ、中国の経済はここまで大きな問題を抱えることはなかっただろう。しかし、習近平がいわゆる自主性を強調しつつ、戦狼外交を国際社会に広め続けているため、西側諸国や東南アジアのいくつかの発展途上国も中共の台頭による脅威をすでに感じている」

ゴールドマン・サックスは、米中関税戦争が最大で2千万人の中国労働者に影響を及ぼすと予測している。

盛雪氏は「中国では高学歴・低所得層が増加しており、大量の失業した若者が都市に集まることで、中共当局にとって潜在的な脅威となる。これらは中共にとって社会不安の隠れたリスクだ。習近平の提案は、政治的安定を維持し、都市の雇用問題を覆い隠すためのものだ」と指摘した。

中国のネット上のソーシャルプラットフォームでは、多くの失業した若者が仕事が見つからず不満を抱えている。たとえ仕事が見つかっても、給与水準は大幅に低下し、新卒大学生は職を得ることすら難しい状況だ。

蔡慎坤氏は「このような状況下で、関税戦争や輸出の縮小、経済の下振れに直面し、都市の庶民、特に若者たちが何もできない場合、重大な社会不安が生じる可能性がある。したがって、今のうちに警告しておき、強制的な手段が講じられるかもしれない」と警鐘を鳴らしている。

盛雪氏は「しかし、これが今の中国の現実を如実に示している。すなわち、自由な表現の場もなく、抵抗手段すら持たない人々が、恐怖と受動性から『寝そべり(躺平)』状態に陥っているのだ」と述べている。

最近、中国各地で賃金未払い、労働者による賃金請求やストライキ、権利保護事件が頻発し、中国経済が深刻な困難に直面し、社会の矛盾がますます激化していることが浮き彫りになっている。