国際金融協会(IIF)が6日に発表した最新の報告書「グローバル債務モニター」によれば、2025年3月末時点で世界の債務残高が324兆ドル(約4.6京円)に達し、過去最大を記録した。前回集計時(2024年3月)の313兆ドルから、わずか1年で約4%増加したことになる。
この債務残高には、各国の政府だけでなく、家計や企業、金融機関が抱える借金も含まれている。今回の増加幅は約7兆5000億ドルと、2022年末以降の四半期平均増加額(1兆7000億ドル)の4倍以上に上った。
債務増加の主な要因の一つは、2025年第1四半期にドルが他の主要通貨に対して下落したことだ。これにより、ドル以外の通貨で発行された債務がドル換算で膨らんで見える効果が生じた。特に中国、フランス、ドイツの債務増が世界全体の残高増加に大きく寄与した。一方、カナダやアラブ首長国連邦(UAE)、トルコではドル換算の債務残高が減少している。
中国の債務増加は特に顕著で、2025年第1四半期だけで2兆ドル超増加した。中国の債務残高は対GDP比で93%に達し、年末までに100%に達する見通しだという。新興国全体の債務残高も過去最高の106兆ドルを超え、対GDP比は245%に上昇した。
先進国の債務残高は217兆ドル、新興国は106兆ドルに上る。世界全体のGDPに対する債務残高比率は325%をわずかに上回る水準となっている。
今後も米中を中心に保護主義や防衛費の増大など、債務増加の圧力が続くとみられる。国際通貨基金(IMF)も、地政学的な不確実性や金利上昇、資金調達コストの増加が各国の財政運営を一層厳しくしていると指摘している。
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