石破茂首相が過去に支援者から総額3,000万円を超える現金を受け取りながら、政治資金収支報告書に記載していなかったとの疑惑が浮上した。7日、週刊文春(電子版)が報じたもので、元側近による証言が中心となっている。石破首相側は「法令に従い適正に処理している」と疑惑を否定している。
週刊文春の報道によれば、証言したのは石破首相の元側近で、政治団体「石破茂政経懇話会」の元代表を務めた下根正宏氏(仮名)。下根氏は2003年から2014年にかけて、石破氏の政治資金パーティー券(1枚2万円)を毎年100枚から300枚単位で現金購入し、多い年には600万円に達したと証言している。さらに、自民党総裁選出馬時の「陣中見舞い」などとして、現金100万円を5回手渡したとも述べており、総額は「少なくとも3,000万円は優に超える」としている。
下根氏は、現金を封筒に入れて石破氏側の秘書らに手渡し、領収書の宛名や金額が空白のまま返されたと証言している。週刊文春が当該時期の政治資金収支報告書を確認したところ、下根氏や彼の経営する会社の名前は記載されていなかったという。政治資金規正法では、20万円を超えるパーティー券購入者について記載義務があるため、法令違反の疑いが指摘されている。
この報道について、林芳正官房長官は7日の記者会見で「首相の事務所は取材に対し、政治資金については法令に従い適正に処理し、収支を報告している」と説明した。石破首相事務所も同様の回答を週刊文春に寄せており、疑惑を否定している。
一方、立憲民主党の野田佳彦代表は「しっかり解明していかなければいけない」と述べ、国会の政治倫理審査会での説明を求める意向を示した。
現時点で、石破首相側は疑惑を全面的に否定しており、証言内容の真偽や法令違反の有無については、今後の調査や説明が待たれる状況である。週刊文春は、証言に加え、裁判資料や写真などの証拠も提示しているが、詳細な事実関係については引き続き注視が必要だ。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。