「アジアの歌姫」として人気を集めた台湾出身の歌手、テレサ・テン(鄧麗君)さんが1995年に急逝してから、ちょうど30年。
テレサさんは1995年5月8日、滞在先のタイで体調を崩し、42歳の若さで急逝した。
命日の5月8日、台北近郊の金宝山にある彼女の墓所では大規模な追悼式典が開かれた。彼女の生前の代表曲「時の流れに身をまかせ」「甜蜜蜜(テンミミ)」などが演奏され、世界各地から駆けつけたファンが思い出を共有した。
式には彼女の家族や日本人元マネージャー舟木稔氏(92歳)も参列した。「音楽に国境はない、そういう世界をつくったテレサの功績は永遠に消えないだろう」と舟木さんは語った。

注目を集めたのは、レコード会社が6月にテレサさんの未発表曲「情歌最愛夜霧時」をリリースするとの発表だ。
未発表曲のほか、テレサさんが録音中に口ずさんだ旋律や編曲に関する本人とプロデューサーのやりとりなど、これまで知られていなかった素材が多数含まれており、ファンの間で大きな話題となっている。
レコード会社の担当者によると、6月に発表予定の遺作に加え、マスターテープの修復作業中にさらに「音楽史に残る貴重な記録となるような」貴重な音源が発見されたそうだ。「テレサさんが録音の合間に口ずさんだメロディーや、プロデューサーとの編曲についてのやり取りまで、すべてがそのまま残されていた」という。
この知らせに、ファンの間では大きな期待が高まっている。
テレサさんの三兄・鄧長富氏は、ステージで涙ながらに「妹は生涯、歌で愛を伝え続けた。この愛のメッセージを、私たちも次世代へと受け継いでいきたい」と述べた。
テレサさんの曲は、台湾の影響力拡大を懸念する中国当局がかつて「退廃的な音楽」として本土で放送禁止となったこともあるが、今ではその中国本土にも無数のファンを抱える“国境を越えた声”として再評価が進む。
幻の歌声が解禁される今年、彼女の遺したメッセージが、再びアジア全体に響き渡ることだろう。
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