東シナ海におけるガス田開発をめぐり、中国が日中中間線付近の中国側海域で新たな構造物を設置していることが確認された。日本の外務省は5月13日、この一方的な開発行為に対し「極めて遺憾」として中国政府に強く抗議したと発表した。
外務省によると、今回確認された構造物は資源開発のための設備とみられ、これで中国側が中間線付近に設置した構造物は計19基となる。日本政府は、東シナ海の排他的経済水域(EEZ)および大陸棚の境界が未画定である現状を踏まえ、中国による一方的な開発の中止と、2008年に日中両国が合意した共同開発の早期交渉再開を強く求めている。
2008年6月、日中両国は東シナ海のガス田共同開発に合意した。しかし、その後の条約化に向けた交渉は中断したままであり、その間も中国側は中間線付近で単独開発を進めてきた。日本政府は、中国側の開発が日本側にも影響を及ぼす可能性があるとして、外交ルートを通じて繰り返し抗議してきた経緯がある。
今回の動きについて、外務省の金井正彰アジア大洋州局長は、在日中国大使館の施泳次席公使に対し、2008年合意に基づく協議の再開を改めて強く求めた。日本政府は今後も、東シナ海の安定と平和的な問題解決に向けて、中国側に協議への復帰を粘り強く働きかけていく方針である。
なお、東シナ海のガス田開発をめぐる日中間の対立の背景には、EEZや大陸棚の境界線をめぐる両国の主張の違いがある。日本は中間線を基準とする立場をとるが、中国はより広範な大陸棚の権利を主張しているため、問題の解決には引き続き両国間の協議が不可欠だとされる。
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