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中国 銀行の冷酷な姿勢に批判広がる

中国で「家族による代行」が認められず 銀行に担ぎ込まれた重病の高齢者 手続き中に死亡【動画あり】

2025/05/16
更新: 2025/05/19

5月14日、湖南省株洲市で、重い病に苦しむ高齢女性が医療費として必要だった5万元(約100万円)を自身名義の銀行口座から引き出そうとした。

しかし、中国農業銀行湖南株洲田心支店の職員は「本人が来店しなければ対応できない」として、家族による代行を拒否した。家族が苦情の電話をいくらかけても銀行側は「本人連れて来い」の一点張りだったという。

やむなく重病の女性は、家族に連れられて車椅子で銀行支店へ「運び込まれた」が、老女は長時間に及ぶ手続き中に容体が悪化し力尽きた。

銀行側は事前に預金者本人が重病の事態を把握しており、家族の必死の訴えを無視し、柔軟な対応を取らなかった。その冷酷な姿勢が、中国国内で激しい批判となった。

ネットに投稿された映像には、銀行前に横たわる遺体、泣き崩れる家族、そして現場に集まる多数の警察や市民の姿が映し出され、社会に大きな衝撃を与えた。

(当時の様子)

銀行側はその後、公式コメントを出さぬままSNSのコメント欄を封鎖し、事態の沈静化を図ったが、民衆の怒りは収まらず、SNS上には「これが人民のためのサービスか」といった非難の声があふれた。

中国の銀行の規定によれば、病気などにより本人が来店できない場合、家族が代理で手続きすることは可能であり、必要であれば出張対応も認められ、今回のケースについて、現地の他銀行の関係者もエポックタイムズに対し、「代理手続きは可能なはず」とコメントした。しかし今回の行員は、これらの代替手段を一切提示せず、規則に縛られた冷酷な対応に終始した。

ネットでは、事件への憤りが噴出する一方で、最近の中国では、大手銀行の経営難がささやかれ、預金引き出しの制限や身分証確認の強化が常態化している背景も指摘されている。

自分の金を自分の意思で引き出せない「不自由な預金制度」が、今や命をも奪う事態にまで発展したことに、多くの市民が「もう銀行を信用できない」と嘆き、現金を自宅に保管する人が増加中だ。

事件の後、世論の高まりを受け、当局はすでに情報統制に乗り出しており、中国SNSに投稿された事件関連動画はことごとく削除された。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!