5月17日、チベット仏教の高位指導者であるパンチェン・ラマ11世・ゲンドゥン・チョーキ・ニマ氏が、中国共産党(中共)当局によって強制失踪させられてから30年の節目を迎えた。彼はわずか6歳の時、ダライ・ラマ14世によって転生者と認定された直後、家族と共に中共当局に連れ去られ、以来消息は一切不明となった。
5月18日、アメリカ国務長官のルビオ氏は書面声明を発表し「今年はゲンドゥン・チョーキ・ニマ氏失踪30周年である。中共当局は、彼とその家族を即時釈放し、宗教信仰を理由としたチベット人への迫害を直ちにやめるべきだ」と強く訴えた。
公開情報によれば、パンチェン・ラマ10世が1989年に逝去。その後、1995年5月14日に当時6歳のゲンドゥン・チョーキ・ニマ氏をパンチェン・ラマ11世と認定したが、わずか3日後に中共当局が彼を連行し、以降消息は途絶えた。同年、中共政府は、エルデニ・チョーキ・ジェブを「中国公認のパンチェン・ラマ11世」と発表したが、亡命政府や海外チベット人からは「漢班禅(ハン・パンチェン・ラマ)傀儡(かいらい)」と呼ばれ、中共の操り人形と見なされた。
中共政府は、これまで「分離主義者による誘拐を防ぐため」として、ゲンドゥン・チョーキ・ニマ氏の所在を隠し、外部との面会も一切認めてこなかった。2015年9月には、当時のチベット自治区統戦部幹部が「彼は教育を受け、健康に成長している」と説明したが、具体的な所在や写真の公開は一切なかった。
30年にわたり続くこの強制失踪事件は、チベット人の宗教的自由と人権侵害の象徴となり、国際社会からは、中共政府に対し、ゲンドゥン・チョーキ・ニマ氏とその家族の即時釈放と、チベット人への弾圧停止を求める声が一層高まっている。
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