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米国 東南アジア製太陽電池に産業被害認定 高関税導入へ

2025/05/21
更新: 2025/05/23

米国際貿易委員会(USITC)は20日、マレーシア、タイ、カンボジア、ベトナムの東南アジア4か国から輸入されている低価格の太陽電池が、アメリカの国内産業に実質的な損害、もしくは損害の恐れをもたらしていると判断した。これにより、米商務省は7日以内にこれらの製品に対して補助金相殺関税(CVD)と反ダンピング関税(AD)を課す命令を発令する見通しだ。

この決定は、米国企業が1年前に提起した訴えに基づくもの。訴えでは、中国企業が東南アジアにある自社工場を通じて安価な製品をアメリカに輸出し、貿易規制を回避しているとして、国内産業への打撃が指摘されていた。

アメリカの法律では、国内産業が外国からの不公正な取引により損害を受けたとUSITCが認定した場合に限り、商務省は関税を課すことができる。USITCの委員3名が賛成票を投じたことで、商務省は先月発表した関税の最終決定に基づき、正式な命令を出す見通し。

今回の訴訟には、韓国系のハンファQセルズ、アリゾナ州のファーストソーラー(First Solar)、そして複数の中小メーカーが加わり、アメリカ国内における太陽電池製造への投資保護を求めていた。

米太陽光製造貿易委員会の代理人、ティム・ブライトビル弁護士は、「今回の投票結果は、中国を本拠とする企業が、長年にわたり貿易法に違反し、補助金付きの安価な結晶シリコン太陽光発電セル(太陽電池)を大量にアメリカ市場へ留任させてきた事実を明確に示すものだ。これらの企業は、第三国を経由して同様の行為を継続しており、アメリカの投資戦略を損ね、新たな産業の発展を妨げている」と述べた。

さらに「こうした行為はもはや容認できない。成長を続ける我が国の太陽光産業には、公正な競争の機会が必要であり、それがようやく実現しようとしている」と強調した。

現在、アメリカ国内で使用されている太陽電池の大半はアジアから輸入されている。

一方、米太陽光発電協会(SEIA)は新たな関税措置に懸念を表明。SEIAのアビゲイル・ホッパー会長は声明で、「USITCの判断は、国内メーカーや業界全体に悪影響を及ぼす恐れがある。新たな関税は太陽電池の調達コストを押し上げ、プロジェクトの建設や製造拡大に支障をきたす」と訴えた。

呉香蓮