5月24〜25日にかけて、北京市に陳情のため赴いた上海市民39人が、一斉に拘束され、上海へ強制送還された。駅には警察官50人以上が待機し、到着した市民らはそのまま「救助ステーション」へと送られた。
施設内には通信妨害装置が設置されており、外部との連絡は遮断されていて、こうした光景は、陳情者の間ではもはや「見慣れた日常」である。
拘束された陳情民のなかには、元大学教師で人権活動家の顧国平(こ・こくへい)氏も含まれていて、顧氏は「私たちはまるでテロリストのように扱われ、納税者の金がこのような弾圧のために使われている」とエポックタイムズの取材に怒りを語った。

中国には、市民が公務員や政府機関の不正を訴える「陳情(信訪)制度」が存在する。2005年に「信訪条例」として法制化され、建前上は「民意の窓口」とされているが、実態は大きく乖離している。
地方政府にとって地元民による陳情は「汚点」として記録され、官僚の評価や出世に響くため、徹底して妨害されるのが常だ。陳情者の上京を防ぐため、地方政府は、北京に「拉致要員」を派遣し、警察と連携して排除にあたっている。

また、今回彼らが送られた「救助ステーション」は、名目上は身寄りのない人々を一時的に保護する福祉施設だが、実際には陳情者を拘束・隔離し、地元へ引き渡すための「仮設収容所」として機能してる。
制度を使えば拘束され、正義を訴えれば「国家の敵」として扱われ、これが、現在の中国における「陳情の現実」である。
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