全国銀行協会(全銀協)は、貸金庫での現金保管を禁止する方針を明記した「サービス規定のひな型」を近く公表する予定だ。目的は銀行の管理責任の明確化と不正防止にある。
この方針の背景には、2024年に発覚した大手銀行での不祥事がある。三菱UFJ銀行とみずほ銀行で、行員が顧客の貸金庫から金品を盗む事件が相次ぎ、業界全体の信頼性が揺らいだ。これを受け、金融庁は2025年3月27日、貸金庫での現金保管をマネーロンダリングや脱税のリスクが高いとして除外対象とする監督指針改正案を公表した。
2025年4月、全銀協の新会長に就任した半沢淳一氏(三菱UFJ銀行頭取)は、貸金庫規定の改定と預かり物品の範囲見直しを進める方針を表明。三菱UFJ銀行は既に、すべての顧客を対象に貸金庫での現金保管を禁止する規定改定に着手している。
全銀協の新ひな型に基づき、各金融機関は管理体制の強化や規定の見直しを順次進める見通しだ。現金は預金保険の対象外で盗難時の補償が難しく、資産運用の非効率性も指摘されており、預金口座の活用が推奨されている。
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