外務省は6月3日、中国に滞在・渡航中の日本人に対し、6月5日の「重慶大爆撃の日」に関連する安全上の注意喚起を発出した。中国ではこの日、第二次世界大戦中の重慶爆撃を記憶するための記念行事や防空サイレンの試験が行われ、例年、日中関係や歴史認識に関する関心が高まる時期となっている。
6月5日「重慶大爆撃の日」は、日中戦争期に日本軍による重慶爆撃が発生した日として中国国内で広く知られている。特に重慶市では、毎年この日を中心に防空警報の試験や追悼行事が実施される。2025年は終戦80周年にあたり、例年以上に大規模な記念活動が予定されている。
反日感情高まる恐れも
外務省によると、過去にも歴史認識を巡る日中関係の影響で、反日感情が一時的に高まったり、抗議活動やデモが発生した事例がある。特に重慶市やその周辺の抗日戦争関連施設では、日本人や日本企業が標的となるリスクが指摘されている。在重慶日本国総領事館は、重慶市内において、邦人がタクシー(配車アプリ)を利用した際、運転手から乗車を拒否された上に暴力を振るわれ、軽傷を負う事案が発生したとして、5月30日にウェブサイト上で発表した。
外務省・日本公館からの外出時の主な注意点は以下の通り。
- 現地の習慣を尊重し、現地の方と接する際には言動や態度に注意する。
- 日本人であることを明らかにするような行動(服装、日本語の使用)は極力避ける。
- 日中間の歴史にかかわる施設や多数の人間が集まる場所には不必要に近づかない。
- 周囲の状況に注意を払い、少しでも不審に感じた場合は速やかにその場を離れる。
- 身の危険を感じるなど急を要する場合は、躊躇することなく公安に通報する。
外務省は、日本人同士で集団で騒ぐなど目立つ行為を避けること、公的な場での言動に注意すること、また在中国日本大使館・総領事館や外務省の最新情報を定期的に確認するよう呼びかけている。トラブルや事件に巻き込まれた場合は、速やかに警察や大使館に通報することが重要だ。
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