2025年6月5日、大阪・関西万博の会場内において、基準値を大きく超えるレジオネラ属菌が検出されたことが明らかになった。レジオネラ菌は肺炎などの原因となる細菌であり、特に高齢者や免疫力の低い人にとっては重症化する恐れがある。
博覧会協会によると、問題が発覚したのは会場南部の「ウォータープラザ」と呼ばれるエリアの海水および会場中心部の「静けさの森」に設けられた人工池である。協会が6月3日に採取した海水の検査結果、国の指針値である1ミリリットルあたり100CFU(菌の数)を大きく上回る2000CFUが確認された。さらに、静けさの森の人工池でも5月28日に基準値の最大20倍に当たるレジオネラ菌が検出されていたことが、5日に大阪市保健所への産経新聞などの取材で判明した。
この事態を受け、博覧会協会は4日夜に予定されていた水上ショーを急きょ中止し、今後数日間のショーも中止することを決定した。再開時期は未定であり、今後の水質改善の進捗を見て判断する方針である。
一方で、静けさの森の人工池については、5月28日の時点で菌の検出が速報値として協会に伝えられていたものの、来場者が自由に立ち入れる状態がほぼ丸一日続いていたことも分かった。この池は入場者が入れる場所で、同協会は先月30日から水を抜いて利用停止措置を取ったとし、「28日は速報値であり、菌の検知が確定したのは6月4日だった」と説明している。
大阪市保健所によれば、現時点で万博会場を訪れた人々の間でレジオネラ菌による健康被害は報告されていない。保健所の指導のもと、問題のあった水はすでに排出され、今後は消毒や清掃などの対策が進められる予定である。
同協会は「水上ショーを楽しみにしていたお客様にご迷惑をおかけし、心よりお詫び申し上げます」とコメントし、今後も保健所や衛生管理センターと連携しながら監視と改善に努めるとしている。
今回の一連の対応については、情報公開や安全対策の迅速さに課題があったとの指摘も出ている。吉村洋文大阪府知事は「保健所の指導を受けて、適切な検査と対策を講じることが重要」と述べている。
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