2025年6月15日現在、イスラエルとイランの間で激しい軍事衝突が続き、両国の死傷者数は増加中である。イスラエル軍は、イランの核関連施設や軍事拠点に対して、大規模な空爆を断続的に実施し、イラン側も弾道ミサイルでイスラエル本土を攻撃している。戦闘は3日目に突入し、地域全体の緊張はかつてない水準に達した。
死傷者の増加と市民生活への影響
両国の攻撃によって死傷者が急増している。イスラエル側の発表によれば、イランのミサイル攻撃によって6月14日夜から15日にかけて少なくとも10人が死亡し、これまでの死者数は計13人となった。負傷者数は200人に上り、主要国際空港および領空は、3日連続で閉鎖中。イスラエル軍は、国民に避難所付近で待機するよう警告し、防空システムによって迎撃を継続中だ。
一方、イラン政府の発表によると、イスラエルの空爆により13日以降少なくとも138人が死亡し、数百人が負傷した。15日午後3時半ごろには、首都テヘランで、4回にわたる大規模な爆発が発生した。イスラエル軍の新たな攻撃と見られる。イラン当局は、市民の安全を確保するため、地下鉄駅やモスクを防空壕として開放する措置を取った。
イスラエル イラン核関連施設への大規模攻撃
6月14日夜から15日にかけて、イスラエル軍は約50機の戦闘機を出動させ、イラン国内の80か所を空爆した。標的には「イラン政権の核指揮センター」、核兵器開発に関わる研究・実験施設、軍事インフラなどが含まれる。
イスラエル軍報道官エフィ・デフリン氏は「我々は一刻も休まず攻撃を続けている」と述べ、これまでに250か所以上を攻撃したと明かした。
さらに、テヘラン南部の精製所や燃料庫、核関連の「二重用途」施設も空爆の対象に加え、イスラエルは、これらの攻撃によって、イランの核開発能力と軍事力に大きな損害を与え、イスラエル本土への脅威を抑えることが目的と主張した。
イラン住民への緊急避難指示とさらなる攻撃の警告
イスラエル軍は、イラン国内の武器製造施設とその周辺の住民に対して「緊急避難」を求める警告を発した。IDF(イスラエル国防軍)のアラビア語報道官アヴィチャイ・アドリー氏はSNSを通じ、「これらの施設周辺では生命の危険が差し迫っているため、直ちに退避し、通知があるまで戻らないように」とペルシア語で訴えた。イスラエルのイスラエル・カッツ国防相も「イランの核能力と武器配備を根絶するため、今後も攻撃を継続する」と明言した。
カッツ国防相は「イラン政権は自国民を人質として利用し、テヘランをベイルートのような戦場に変えつつある」と非難した。
アメリカの対応と国際社会の動揺
アメリカ政府は、在イスラエル大使館の職員とその家族に対して「就地避難」を指示した。大使館は「現在の安全保障状況と両国間の衝突を踏まえ、全職員と家族は新たな通知があるまで外出を控えるように」と警告した。
一方、アメリカ大統領ドナルド・トランプ氏は「イランがアメリカのいかなる目標を攻撃しても、未曾有の軍事的報復を受ける」と強い口調で警告した。

首脳らの発言――報復とさらなる衝突の可能性
イスラエルのネタニヤフ首相は、イランのミサイル攻撃によって被害を受けたバトヤムを視察し、「イスラエル市民の死に対し、イランは非常に重い代償を払うことになる」と語った。また、「イランは我々の生存を脅かしている」として、国民に冷静な行動と安全指示の遵守を求めた。
これに対し、イランのペゼシュキアン大統領は「イスラエルが攻撃を続ければ、より厳しい報復を加える」と警告した。
核開発問題が衝突の根底に
今回の軍事衝突の背景には、イランの核開発問題が存在する。イラン外相アッバス・アラグチ氏は「イスラエルの攻撃は、イランとアメリカの核協議を妨害する意図を持っている」と主張した。オマーンで予定されていた米イラン核協議は、イスラエルの空爆を受けて中止した。
イラン政府は、自国内でのウラン濃縮活動を継続し、保有する高濃縮ウランを国外に搬出することを拒否した。6月12日、国際原子力機関(IAEA)は、イランが核拡散防止条約(NPT)に違反していると発表した。
イスラエルは、NPTに加盟しておらず、核兵器を保有していると広く推測される。イスラエル政府は「イランの核兵器開発の阻止と弾道ミサイル能力の排除が攻撃の目的である」と説明し、ネタニヤフ首相も「イランは9発分の核兵器製造に必要な高濃縮ウランを保有し、数か月以内に初の核兵器を完成させる可能性がある」との危機感を示した。
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