6月16日、スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は最新の年次報告書を発表し、中国共産党政権が保有する核弾頭の数が前年より100発増加し、推定で600発に達したと明らかにした。
報告書は、中共が近年、急速に核戦力を強化している点に注目し、「現在、世界のどの国よりも速いペースで核弾頭の備蓄を増やしており、2023年以降は毎年約100発の新たな核弾頭が追加されている」と分析。その上で、「危険な核軍拡競争に突入しつつある」と強い懸念を示した。
同研究所は、今後10年以内に、米ロに並ぶ核兵器保有国になる可能性があると分析し、また、大陸間弾道ミサイル(ICBM)用の地下式格納施設(サイロ)をおよそ350か所に完成させたか、または建設を進めているという。
この報告書について、林官房長官は、同日午前の記者会見で、「中国は急速かつ不透明な形で核弾頭の保有数を増やすとともに、多様な運搬手段の開発・配備を進め、核戦力の能力向上を継続していると見られる」と述べ、憂慮の意を示した。
さらに、「現下の国際情勢を踏まえると、核兵器のない世界に向けた道のりは、いっそう厳しさを増している」と語った。
ストックホルム国際平和研究所の推計によれば、世界全体の核弾頭保有数は2025年1月時点で1万2241発となり、前年から164発減少。そのうち3割以上にあたる3912発が配備され、2100発が弾道ミサイルに搭載されて短時間で発射できる状態だという。
最大の核保有国はロシアで5459発、次いで米国が5177発とされ、両国だけで世界全体の核弾頭の約9割を占めている。
また、報告書は近年進展するAI(人工知能)の軍事利用にも言及し、防衛システムへのAI導入により、意思疎通や状況認識の誤り、技術的なトラブルが生じることで、核紛争のリスクが一層高まる可能性があると警鐘を鳴らした。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。