2015年7月9日に起きた中国全土で人権派弁護士や活動家らが一斉に拘束された「709事件」から10年が経過した。
だが今なお迫害は終わらず、多くの人権弁護士が拘束や監視下に置かれ、自由や職業を奪われている。家族にも就学・就業の機会が与えられないなど、連座制的な圧力が続き、国際社会から深刻な懸念の声が上がっている。
この節目にあたる7月6日、ドイツ・ベルリンの中国大使館前では、民主活動家らが集まり抗議集会を開催。中国共産党(中共)によっていまも拘束されている人権派弁護士らの即時釈放を訴え、世界の関心を中国の人権状況に向け続けるよう呼びかけた。現場には20人以上の中国人亡命者も駆けつけ、連帯の意思を表明した。

集会の主催団体「新公民運動連盟」の発起人である王守峰(おう・しゅほう)氏は、冒頭の演説で「10年経っても弾圧は続いている。私たちは忘れておらず、諦めない」と演説し、中共による長年の組織的な弁護士弾圧を非難した。
集会では、「709事件」で実刑判決を受けた人権弁護士・周世鋒(しゅう・せいほう)氏のその後も紹介された。当時「北京鋒鋭弁護士事務所」の主任弁護士だった周氏は全財産を没収され、8年の服役を経て釈放されたものの、依然として出国や移動を制限されている。さらに妻の張美英(ちょう・びえい)さんは、長年の困窮と医療費の不足から治療が遅れ、多臓器不全で死亡。支援を呼びかけた周氏の口座は中共当局によって即座に凍結され、募金活動は違法として妨害されたという。
王守峰氏は「正義のために立ち上がった者が家族ごと追い詰められる現実を、決して許してはならない」と語り、当局の非道な抑圧を強く批判した。

同様の抗議の声は世界各地で上がっており、同日にはアムネスティ・インターナショナル、ヒューマン・ライツ・ウォッチなど30以上の国際人権団体が共同声明を発表。各国政府と国連に対し、中共による弁護士・活動家への迫害を調査する独立機関の設置と、責任追及を求めた。
709事件から10年。正義のために立ち上がった人権弁護士たちは、いまも自由を奪われ、家族ごと追い詰められている。彼らを容赦なく弾圧するこの体制こそ、中共の本質だ。
だが、こうした圧政を前に沈黙を続ける国際社会にもまた、良心と責任が問われている。見て見ぬふりをするのか、それとも声を上げるのか。中国と経済的・外交的関係を持つ日本もまた、この問いから逃れることはできない。
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